IBM、「Power5+」プロセッサ搭載のUNIXサーバ2種を発表

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:吉武稔夫、小林理子2006年07月25日 22時21分

 IBMは米国時間7月25日、デュアルコアプロセッサ「Power5+」を搭載したUNIXサーバの最上位機種を発表し、新機種への移行と性能向上という、サーバ市場における急速な変化の時代の総仕上げとする。

 新機種は、Power5+プロセッサ16基搭載(32コア)の「System p5-590」と32基搭載(64コア)の「System p5-595」で、Power5+プロセッサは最高2.3GHzで動作する。発売は8月11日からの予定だ。IBM System p(旧称pSeries)Unixサーバ担当バイスプレジデントKarl Freund氏によると、Power5+を使用したシステムは、1.9GHzのPower5プロセッサを使用した場合に比べてパフォーマンスが約30%向上するという。

 IBMがこの時期に新しいシステムを発表したことは重要な意味を持っている。Sun Microsystemsは、UNIXサーバのメーカーとして首位の座から転落したものの、「UltraSPARC IV+」プロセッサを搭載したシステムで巻き返しを図っている。また、Hewlett-PackardのUNIXシステムに「Itanium」プロセッサを供給しているIntelは、新プロセッサ「Montecito」(開発コード名)を発表したばかりだ。

 新機種の投入で、IBMはサーバ事業の売り上げを飛躍的に伸ばせるかもしれない。市場調査会社IDCによると、2006年第1四半期のサーバ市場全体の売り上げでは、HPがIBMと並んで業界トップの地位を獲得したという。

 Freund氏は次のように述べている。「前四半期では、ハイエンド機種へのPower5+搭載を待つ顧客たちの買い控えがあった。今回の新製品はそういった期待に応えるものになるだろう。また、ハイエンド機種の分野の売り上げを飛躍的に伸ばすことにも繋がると願っている」

 IBMはPower5+の投入とともに、サーバ事業における新戦略を開始する。それは、「フォークリフトが必要な大規模アップグレード」の終焉だ。これまでのサーバアップグレードといえば、冷蔵庫ほどの大きさで重量1トンにおよぶことも珍しくないサーバ本体を新しく購入する必要があった。Freund氏によれば、これからはそのような必要はなくなり、2007年に発売予定の「Power6」にアップグレードする場合は、サーバ内部のプロセッサメモリボードのみを交換すればすむという。

 ボード交換方式のアップグレードは、p5-590とp5-595だけでなく、中位機種の「System p5-570」でも可能だという。

 IBMは新サーバの価格については明らかにしなかったが、Power5を搭載した従来モデルとほぼ同じ価格帯になると説明している。

 IBMは新サーバの投入と同時に、業界団体Transaction Processing Performance Council(TPC)が策定したトランザクションベンチマーク「TPC-C」における、新記録樹立を目指している。Power5+搭載のp5-595は1分間に402万トランザクションの処理が可能であり、これはPower5を搭載したp5-595が出したこれまでの最高記録、1分間321万トランザクションを25%上回る。

 IBM以外の機種での最高記録は、Itaniumを搭載したHPの「HP Integrity Superdome」が2005年に出した1分当たり123万トランザクションだ。しかし、HPはMontecitoプロセッサ搭載のサーバでさらなる好成績を上げようと努力を重ねている。サーバ向けのMontecitoは、Itaniumアーキテクチャでは初めてデュアルコア方式を採用したプロセッサだ。サーバ用デュアルコアプロセッサは、2001年にIBMが最初に出した。

 HPのMontecito搭載機は9月に出荷開始の予定だが、最上位機種のSuperdomeではなく、ローエンドモデルから出荷が始まる。

 IBMは、独立したシステムを多くのパーティションに分割し、複数の作業を効率的に処理する技術の先駆者であり、そのような処理には仮想化と呼ばれる技術が必要となる。仮想化の概念を最初に取り入れたのはメインフレーム分野だが、現在ではUNIXサーバでもごく普通に取り入れられており、Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」などx86系プロセッサを搭載したサーバの主力機種にも取り入れられつつある。

 IBMは新しいサーバの発表に合わせて、2005年に買収したCIMS Labsの技術を基にした新しい仮想化製品を発表した。新製品はIBM Tivoliブランドのシステム管理スイートに属し、使用中のアプリケーションが処理能力やネットワーク、ストレージなどのリソースをどれだけ使っているかを顧客が正確に追跡できるようにする。Freund氏によれば、これによってリソースの配分を効率的にできるようになり、必要以上の処理能力を持ったシステムを購入する必要がなくなるとともに、コンピュータの使用時間に応じて企業が各部署に費用を分担させるのにも役立つという。

 この新しい管理ソフトウェアの名称は「IBM Tivoli Usage and Accounting Manager」(ITUAM)という。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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