ハイテクパーク建設ラッシュにわく中国、その光と影

文:Dan Ilett(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、長谷睦2006年07月07日 20時52分

 地元の人の話によると、上海では高層ビルは週に1階のペースで建設されているという。だとすると、建設中の高層ビルはどれも約1年で完成することになるが、これは中国で目標として掲げられている時間のペースともだいたい一致する。

 これがハイテクパークの建設となると、もう少し時間がかかるが、そのぶん、規模も非常に大きくなる。上海と南京の中間点にあたる揚子江デルタに建設されるCalifornia Technology Parkの場合、完成に約3年かかるとみられている。

 地方自治体が激しい誘致合戦を繰り広げている場合にはよくあることだが、California Technology Parkが建設されている江蘇省の町、常州でも、当局がこのハイテクパークに開業する企業に対して税制上の優遇措置を開始した。

 California Technology Parkの国際事業担当ディレクター、Ross Curtin氏は「われわれはシリコンバレーのようなハイテク村の建設に着手したところだ。居住地区、商業地区、研究開発地区、製造地区、物流地区などが設けられる」と話す。

 「たいていの工業地域は建物が何マイルも続き、巨大な農場のような有様だ。コミュニティとは何のつながりもない。そこで、われわれはこのハイテクパークに、米国的な職住接近のコミュニティモデルを持ち込もうと考えている」(Curtin氏)

企業誘致の裏側

 ソフトウェアパークは中国全土で急増し、現時点で数百を数える。それぞれのオーナーは中国国内の企業や国際企業を誘致しようと奮闘している。

 しかし、多くの新規開発地区同様、常州におけるハイテクパーク建設も、何世代にもわたってその地で生活してきた家族たちが政府から立ち退くよう命じられる事態を招いている。「退去を迫られる農民がいる。一部はもう去ってしまった。それも、驚くほどの規模だ」とCurtin氏は話す。

 「犠牲になる人は出る。しかしそれがここのやり方だ。適切な補償を受けている限り、問題はない。少なくとも、この江蘇省には移住できる農地がたっぷりあるのだから」とCurtin氏。

 さらに、Curtin氏によると、地方自治体が住民を都市の周辺部に追いやり、立ち退いた後の土地を開発業者に提供するといった事例は、中国全土で相次いでいるという。

 「ある日、めん類を食べに出かけたところ、警官隊がその通りすべてを閉鎖していた。警官隊はその地区一帯の住民を強制的に排除していた。私たちも入れてもらえなかった。翌週になると、その地区全体が取り壊されていた」とCurtin氏は語る。

 「ただし、住民はいくらかのお金を手にしたようだ。めん屋の主人に話を聞いたところ、それなりの補償金をもらったようだった」とCurtin氏は説明する。

 ハイテクパークの最大のメリットの1つは、政府との良好な関係が既に確保されている点にある。新規参入した企業なら完了まで何カ月もかかるような、時間を要する事務手続きや、官僚的で煩雑な措置についても、その一部を迅速に処理してもらえる。

 California Technology Parkのゼネラルマネージャーを務めるJohn Mei氏は、政府と新規参入企業の関係を円滑にする役割を任されている。シリコンバレーで働いた経験を持つ中国人であるMei氏は、当局者の面目を保ち、海外の企業を誘致することの利点を示すことが重要だと話す。

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