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全人類の知識を収蔵するデジタル図書館--B・カール氏の壮大な使命

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、中村智恵子、小林理子2006年07月05日 08時00分
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 インターネット界の先駆者Brewster Kahle氏は、ある使命に取り組んでいる。地球上のすべての人々が、全人類の知識にアクセスできるようにしたいと考えているのだ。そして、それが1バイトずつでも実現に近づくよう、懸命な努力を続けている。

 Kahle氏は10年前、非営利団体のInternet Archiveを設立した。同団体の目標は、それまで短期間の娯楽であったウェブコンテンツを後世のために保存することだった。しかしKahle氏は、ウェブサイトの保存だけでは満足できず、範囲を拡大し、現存する本やテレビ番組、映画や音楽なども、このアーカイブの大規模なデジタル保管庫に収めることを決心したのだ。

 Internet Archiveは、これら全てのデジタル化と、音声および動画コンテンツの無料ホスティングに加え、サンフランシスコで無料の無線インターネットを提供する「SFLan」プロジェクトに資金援助もしている。

 Kahle氏は、このデジタル保管庫を設立し、無料でアクセス可能にし、さらに永続させるという、野心的な計画を熱心に説いている。同氏はこの保管庫を、古代世界の失われた伝説の図書館にならい、「アレクサンドリア図書館バージョン2」と呼んでいる。

 Kahle氏は、サンフランシスコのプレシディオ地区にあるInternet Archiveのオフィスを記者に案内しながら「Thomas JeffersonとAndrew Carnegie、そしてアレクサンドリア図書館の偉大な伝統を引き継ぐ図書館システムを持とうではないか」と語った。「古代ギリシア人の構想と現代の技術を合わせて、こうした図書館を再び築くことができれば、誇るに足るものになるだろう」(Kahle氏)

 非常に明瞭で謙虚な口調のKahle氏(45歳)がしばしば見せるとまどったような表情は、かけているメガネ、白髪混じりの縮れ毛、濃いまゆ毛と相まって一種独特で、フクロウを連想させる。確かに、友人たちは同氏のことをオタクと評しているが、妻とヨットを楽しんだり、2人の息子とバーモント州のシアターキャンプで過ごすなど、幅広い趣味を持つ調和の取れたオタクだという。

 Kahle氏のお気に入りの本は「フランクリン自伝」だ。最近聴くようになった女性デュオ、Ditty Bopsの音楽については、Andrews SistersとThe Rochesを足して2で割ったようだと評している。

フリーアクセスへの同盟

 Kahle氏はインターネットにおける文書保管係としての役割を楽しんでいる。歴史あるメディアの数世紀にわたる蓄積に加え刻々と出現する新たなデータという、デジタル化するべき素材の圧倒的な量にも、Kahle氏はひるまない。Kahle氏をひるませるのは、利益を得ようとするあまり万民の自由なアクセスを脅かす商業的利権だ。だからKahle氏は、情報への自由なアクセスのためという大義をかかげて戦うことをためらわない。

 「(人類の知識を集めた図書館が)企業の利権に敗北するようなことがあれば、私はどうしていいかわからない。企業の手に渡してしまうこと、それが私の最大の悪夢だ」とKahle氏は語る。

 このために、Internet ArchiveとYahoo、Microsoftが協力してOpen Content Alliance(OCA)を結成し、カリフォルニア大学各校やトロント大学などを始めとする図書館の蔵書をデジタル化するためのプロジェクトを進めている。類似のプロジェクトはGoogleも進めているが、こちらではデジタル化されたコンテンツをGoogleのウェブサイトからでなければ読めない。これに対して、OCAのコンテンツはどのサービスからでも検索可能で、誰もが書籍をダウンロードできるようになる。

 またOCAは著作権が切れた書籍のみをデジタル化することになるが、Googleのデジタル化プロジェクトには著作権で保護されている作品も含まれ、こうした作品をデータベースから検索するユーザーには一部の抜粋を提供する予定だ。このためGoogleは、著者と出版社のグループから訴訟を起こされる結果を招いた。

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