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船頭多くしてどこへゆく・・・ゲイツ氏の引退宣言で浮かび上がる新しい疑問

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年06月22日 12時35分
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 Bill Gates氏がチーフソフトウェアアーキテクトの職から退くと述べた後のMicrosoftの動きを見る限り、同社の技術の将来がワンマンショーで展開することはなさそうだ。

 同社は後任のチーフソフトウェアアーキテクトとしてRay Ozzie氏を選ぶ一方で、Craig Mundie氏に研究および政策問題についての責務を負わせた。同社はまた広範なトップ頭脳のプールを活用することを目的とした新しい内部オンラインシステムも用意している。そしてGates氏自身も多数の技術プロジェクトに非常勤で参加する予定である。しかしそのプロジェクトがどれになるかはまだ定まっていない。

 こうした諸々のことが、Microsoftには船頭が多すぎるのではないか、という疑問を浮かび上がらせる。「Billが技術戦略を立てる役割から退き、どうやって事が運ぶのだろうか」とアナリスト会社Directions on Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるRob Horwitz氏はこのように述べた。

 Gates氏はその天性と立場から、Microsoft内の技術的な争点については最終的な裁定者の役割を果たし続けてきた。「主要な製品グループが解決できず、何かについて意見が一致しない場合は、彼が最終決定を下す」とHorwitz氏は言う。

 GartnerのアナリストであるMichael Silver氏は、単独の権威ある人物がいなくなることは、必ずしも悪いことではないと述べた。

 「より多くの意見が出されることは良いことかもしれない」とSilver氏は言う。「Microsoftが避けるべきことの1つは、1人の人物と密接に関与しすぎることである」(Silver氏)

 課題は、決して物事が滞り過ぎないようにすることであると、Silver氏は言う。「お役所仕事のようになり過ぎたり、判断ができなくなったりしてはいけない」(Silver氏)

 Silver氏はGates氏が立ち上がり、何か大きなことが目前に迫っているためMicrosoftは転換しなくてはならないと述べた当時のことを指摘した。10年前にGates氏は「Internet Tidal Wave」についてメモを送り出している。

引き渡される政権

 Gates氏が厳選された後継者らにどの程度の地盤を譲渡するつもりかという疑問もある。長年のGates氏の仕事仲間は、このIT世界の偶像が、はるか後ろに引き下がることはなさそうだとみている。

  Microsoftの元最高技術責任者(CTO)で、現在Intellectual Venturesの最高経営責任者(CEO)を務めるNathan Myhrvold氏は先週、「彼が結婚したときのことを思い出す。だれもが、『さあ、これで少しは仕事を減らすだろう』と話していた。でも、そうはならなかった」と振り返った。

 さらに同氏は「Bill Gatesにとっての非常勤勤務は、普通の人の常勤勤務に相当するほどの働きぶりになるだろう」とも付け加えた。

 IDCのアナリストAl Gillen氏も、Gates氏が働いていないところはあまり見たことがないという。しかし同氏によると、Microsoftが前進するためには、Gates氏が、新たにソフトウェアアーキテクチャのトップとなるOzzie氏を中心とする後任に一定量の業務を任せる必要があるという。「Bill Gates氏がRay Ozzie氏にチーフソフトウェアアーキテクトの役割を引き継がせたいのならば、Gates氏が確実に身を引いて別のことに専念する必要がある。どのマネージャーも身を引いて、権限を委譲した部下に業務を改革を任せる必要がある」(Gillen氏)

 でも、それは実現の困難な目標を掲げて懸命に働いてきたGates氏にとって難しいことだ。「Microsoftのプロジェクトを見ると、その多くでBillが音頭をとっている。これらのプロジェクトが今後どうなるかはどうしても不安になる」(Silver氏)

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