MS新セキュリティ責任者--標的は「Vista後」 - (page 2)

文:Joris Evers(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年06月22日 08時00分

 「セキュリティのためのエンジニアリング」に関する取り組みは「Security Development Lifecycle(SDL)」に集約されます。SDLはWindowsはもとより、Microsoftの全製品に適用されるものですが、最近はSDLのスピードをさらに上げる必要があると感じています。というのも、MSNやWindows Liveといったサービスは開発サイクルが非常に短く、迅速な更新を必要とするからです。

 SDLの製品化も検討しています。販売するという意味ではありません。年度末に書籍を出し(編集部注:6月1日に「The Security Development Lifecycle」が出版された)、一部の機能はVisual Studioにも統合しました。SDLはMicrosoftだけのものではありません。サードパーティもSDLを使って、自社製品の質やセキュリティを改善することができます。

 「単純化」についてはもちろん、プラットフォームに関する作業があります。「Windows Live OneCare」と「Microsoft Client Protection」はセキュリティ製品ですが、実質的には管理をテーマにしたものです。これらの製品は家庭のシステムから企業のセキュリティまで、あらゆるシステムの管理を容易にするサービスを提供しています。

 4つ目の「根本的にセキュアなプラットフォーム」は、私の真価が試される分野だと思います。この分野ではプラットフォームそのものとWindowsに多くの投資を行い、その改善に努めています。

--Vistaの初期のリリースに対しては、セキュリティ関連のインターフェースが煩雑で、一貫性がなく、シンプルでないといった批判がありました。これは先ほどの4つの信条のひとつに反するのではありませんか。

 その通りです。ただ、こうした意見の多くは12月に公開したVistaの開発者用プレビューに対するものです。このバージョンではユーザーの混乱を招くようなダイアログやポップアップが大量に使われていました。その後、膨大な時間をかけてこうしたダイアログを排除してきましたので、うっとうしさは大分減ったと思います。すでにVistaのBeta 2は公開されていますが、RTM(Release to Manufacturing、メーカー向けリリース)の開発でもこの作業は継続するつもりです。

--Microsoftはセキュリティ関連企業を次々と買収してきました。SSL VPNプロバイダーのWhale Communicationsはその最新の例です。一連の買収により、Microsoftはセキュリティプロバイダーとなり、独自のセキュリティ製品も販売するようになりました。技術者として、Microsoft は今後、外部の技術を買うより、独自のセキュリティ製品の開発に力を入れるようになると思いますか。

 両方だと思います。3年前、Microsoftはセキュリティ事業に参入し、製品ラインアップにセキュリティ製品を加えました。買収を重ねたのは迅速なスタートを切るためです。今後も当社の取り組みを補強してくれる革新的なアイディアを持った新興企業や既存企業を探していくつもりですが、それと平行して、独自のセキュリティ製品の開発も続けるつもりです。

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