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MS新セキュリティ責任者--標的は「Vista後」

文:Joris Evers(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年06月22日 08時00分
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 拡大を続ける脅威からWindowsシステムを守る責任は今、新しい人物の手に委ねられている。

 米国時間6月1日、Microsoftはセキュリティ技術部門の新しいコーポレートバイスプレジデントに生粋のソフトウェアエンジニアBen Fathi氏を据えた。前任者のMike Nash氏は長期有給休暇に入る。

 今回の人事交代はMicrosoftが3月に発表した大規模な幹部交代計画に沿ったものだ。この計画に基づき、同社はWindowsの開発責任者も交代している。

 イラン生まれのFathi氏はベテランの技術者だが、過去8年間は特に注目されることもなく、Microsoftでファイルシステムを担当していた。今回の人事交代により、Fathi氏はついに日の当たる場所に出てきたものの、これはMicrosoftで最も報われない仕事のひとつかもしれない。Fathi氏は今後、Windowsやその他のMicrosoft製品のセキュリティ問題に責任を負うことになる。

 前任者のNash氏はMicrosoftのセキュリティ対策の対外的な顔として、同社が定期的に配信するWebキャスト「Security360」のホストを務めたり、ブログを書いたり、講演をこなしたりしてきた。Fathi氏にとっては、これは未知の領域だ。Fathi氏は6月12日、ボストンで開催されたMicrosoftのTechEdイベントで就任後初の講演を行った。

 Fathi氏は3カ月の長期有給休暇から戻ったばかりだ。カメラが趣味というだけあって、オフィスの壁にはアフリカ、欧州、インド、ネパールなど、旅先で撮影した写真のポスターが何枚も貼られている。

 しかし、普段の彼は「仕事中毒」だ。夜を徹して働くことも多く、妻と娘はすでに彼の不在を当たり前のものと思っている。新しい役職を得てからは、彼もそれを認めざるをえない。

 Fathi氏は今回の人事について、Windows XPの後継OSとして登場する「Windows Vista」後を考え始めるには絶好のタイミングと言う。Fathi氏はCNET News.comのインタビューに応じ、Microsoftでの新しい任務を語るとともに、エンジニアとしての経歴を活かし、より技術的な側面から指導力を発揮していく意向を示した。

--なぜ自分に白羽の矢が立ったのだと思いますか。今回の人事交代により、あなたは注目の的となりますが、これほど報われない仕事もないかもしれません。

 そうした見方があることは承知しています。これが大きな挑戦であることも十分認識しています。この業界に入って25年ほどになりますが、その間にあらゆるポジションを経験してきました。学生時代から開発を学び、いくつもの複雑なハイエンドシステムの設計と構築に取り組んできました。セキュリティは複雑な問題です。今度の仕事にはこれまでの経験--大規模な組織の運営、質の高い製品開発、コンポーネント開発、社内外のパートナーとの連携といった経験が役立つと思います。

--ご自身と前任者のMike Nash氏の違いは何だと思いますか。

 Mikeは社外との関係に重点を置き、セキュリティに関するMicrosoftのメッセージをパートナーや顧客に伝えてきました。彼と比べると、私ははるかに技術寄りの人間なのでこの部分、つまり対外的な仕事にもっと力を入れていく必要があると思います。

--Nash氏の後任にあなたが選ばれたのは、あなたが技術者で、より技術的な側面からセキュリティ問題に対処できるからだと思いますか。

 それも理由のひとつだと思います。今後はMikeとチームが推進してきた路線を継続するとともに、Vista後のセキュリティを強化していきたいと思っています。しかし、この分野で私の出る幕はあまりありません。チームはすでにすばらしい仕事をしていますし、これからもそうでしょうから。

--就任後、まずしたことは何ですか。

 じっくりと時間をかけてMicrosoftの技術を見直し、既存のプロジェクトやVistaに搭載される機能、Vista後に予定されているプロジェクトなどについて勉強しました。

--Nash氏が去ったことで、何が変わると思いますか。

 チームはVistaに献身的に取り組んでいます。現在の作業の中心は機能の追加、バグの修正、セキュリティや品質の改善などです。実際、私が最初にチームに言ったことは「Vistaの作業はあらかた終わっている。Vistaに関して、私にできることはあまりない。基本的にはもう完成している」というものでした。

 そこで、私は社外で2日間の会議を開き、直属の部下や社内の主要なパートナーとVista後について話し合いました。個人的には、これがキックオフだと思っています。この会議の狙いは、Vistaはほぼ完成しているので、会社またチームとして、今後どの分野に賭けるかを考えようというものでした。このプロセスにはMikeも参加していますが、主導権を握っているのは私です。

--つまり、Vistaの出荷はNash氏の仕事であり、あなたはむしろVista後に目を向けていると。

 その通りです。その意味で、今回の人事交代は絶好のタイミングでした。

--近い将来にMicrosoftがセキュリティ関連のニュースを発表する予定はありますか。

 現在はBill Gatesが2月のRSAカンファレンスで話したことに集中的に取り組んでいます。Microsoftのセキュリティ構想は4つの分野、すなわち「トラストエコシステム」、「セキュリティのためのエンジニアリング」、「単純化」、「根本的にセキュアなプラットフォーム」で構成されています。われわれはこのすべてに多大な投資を行ってきましたし、今後も続けていくつもりです。

 「トラストエコシステム」に関する取り組みとしては、まず「Window Server 2003 R2」で「Active Directory Federation Services」を提供しました。次のステップは証明書ライフサイクル管理のようなものを追加し、企業が電子証明書を管理できるようにすることです。この一部はVistaでも実現されます。InfoCardもその一例です。

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