検索エンジンといって、真っ先に思い浮かぶのはどんな企業だろう。検索の王者であるGoogleや対抗するYahoo!、Microsoftなど、大手はほとんど米国企業であるのが現状だ。ここに危機感を抱いた経済産業省が、産学を巻き込んだ一大プロジェクトを始動させる。
プロジェクトの名前は「情報大航海プロジェクト・コンソーシアム」。7月設立予定で、国産の情報検索・解析エンジンを開発する。日立製作所やNEC、富士通といった企業のほか、早稲田大学や東京大学などの38団体が参加する。3〜5年後の実用化を目指す。
コンソーシアムが目指すのは、今後ますます増えると見られる画像や動画の検索・解析ができるエンジンの開発だ。現在の検索エンジンは文字を検索対象としているため、例えばある画像に似た画像を瞬時に探すといったことは難しい。画像を使って検索できることで、たとえば製品設計者が膨大な部品データの中から、自分の欲しい形状の部品を探すといったことが可能になる。
「Googleと正面切って戦っても意味がない。Googleがまだ提供していない新しい領域を開拓したい」と情報大航海プロジェクト・コンソーシアム事務局を務める三菱総合研究所 主任研究員の安江憲介氏は話す。
コンソーシアムでは開発した検索エンジンをオープンソースとし、広く公開していく考え。参加企業はこの技術を元にしたサービスを独自に開発して提供できる。
これまでもNECや富士通などは、独自に検索エンジンの開発をしてきた。しかし開発コストが大幅にかかることから、共同開発したほうが得策だと判断した模様だ。
同様の取り組みとしては、フランス政府が音頭をとったEUのプロジェクト「Quaero」などがある。Quaeroの場合、2年間で約400億円の資金を使って検索エンジンを開発するという。
コンソーシアムの開発体制や予算については未定だが、経済産業省が数十億円の予算を確保するとみられる。コンソーシアムでは7月の正式発足後、ベンチャー企業や海外企業などにも広く参加を呼びかける計画だ。
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