独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は6月12日、独自に開発したインターネット用時刻同期サーバを用いて、インターネットを介した日本標準時配信サービス「NICT NTPサービス」を開始した。
米国では証券業界の不正防止を目的に、取引時刻を米国標準技術研究所(NIST)の米国標準時に同期させることを義務付けたルール(OATSルール)が導入されている。日本でも、e-Japan戦略に基づいて電子商取引および電子政府の実現が進められており、総務省が2003年3月発表した「公共ITにおけるアウトソーシングに関するガイドライン」において、システムクロックを日本標準時に同期させる指針が出されている。NICT NTPサービスは、これらの時刻源として活用される。
今回サービスを開始するシステムは、インターネットで最も広く使われている時刻同期システムであるNTP(Network Time Protocol)に準拠しており、時刻サーバはNICT内に設置され、日本標準時に直結している。サーバの時刻精度は10ナノ(1億分の1)秒以内で、処理能力は既存システム200台分以上に相当する毎秒100万リクエスト以上の性能を有する。この処理能力は世界最高性能で、現在の国内の需要を十分にカバーできるという。また、時刻源、サーバ、ネットワーク、電源のすべてを冗長化構成することにより、高い信頼性を確保したとしている。
今回のインターネットを利用した時刻配信により、インターネットを利用できるところであれば、手軽に日本標準時と直結した同期をすることが可能となる。なお、NICT NTPサーバアドレスはntp.nict.jpとなっている。
NICTでは、公開NTPサービスの開始を記念するとともに、日本標準時への関心を高め、現在の世界中のサーバの合計以上の処理能力を有するNICT NTPサービスをより多くの人に利用してもらうため、「NICT NTPサービス利用クライアントコンテスト」を開催し、NICT NTPサービスを利用するクライアント(ソフトウェア、ハードウェアおよびアイデア)を募集する。
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