Adobe Systemsから訴訟を起こされるのを回避するため、Microsoftが「Office」および「Windows」両製品の次期版に変更を加えている。
Microsoftは米国時間6月2日、数カ月間にわたり続けてきた和解交渉が決裂したことにより、 Adobeから反トラスト訴訟を起こされる可能性があると発表した。
現在Microsoftは、Adobe側が指摘している問題を解決するため、Office 2007およびWindows Vistaの仕様を独自に変更している。こうした取り組みを進めることで、Microsoftは差し止め命令によって製品の出荷が妨げられないようにしようと努めている。
MicrosoftのバイスプレジデントChris Capossela氏は、2日にCNET News.comの電話インタビューに応じ、「ユーザーが当社の製品を入手できなくなる事態はなんとしても避けたいと思っている。そのためにも(Adobeと)良好な提携関係を築く努力をしている」と語った。
Microsoftはこれまでも、技術的な障害により、Windows Vistaのリリース期日をたびたび延期せざるを得ない状況に追い込まれてきた。同社は現時点では、Officeの開発を10月に、Vistaの開発を11月に完了させ、2007年1月から一般提供を開始する予定である。
主な変更点は2点ある。Vistaにおいては、「PDFキラー」とも言われるMicrosoftの定型ドキュメントフォーマット「XPS」に関し、コンピュータメーカーがサポートの有無を選択できるようになるという。変更後も、同社はOSによるファイルの印刷にはXPSフォーマットを使用し続ける。だが、各コンピュータメーカーは、XPSファイルを閲覧したり、ドキュメントをXPSファイルとして保存したりするためのソフトウェを搭載する必要はない。
とはいえ、Microsoftは同フォーマットの採用を見送るコンピュータメーカーは多くないと踏んでいる。
MicrosoftのグループプログラムマネージャーAndy Simonds氏はCNET News.comに対し、「XPSは有用な機能であり、ユーザーもその利用を望んでいることから、搭載しないという選択肢を選ぶメーカーは少ないだろう」と述べた。過去の例を見ても、こうした場合はMicrosoftが有利だ。例えば同社は、メディアプレーヤーを内蔵しないタイプのWindowsを販売するよう、欧州連合から命じられたことがある。しかしメーカーらは、機能を制限したOSを搭載するPCの販売にほとんど興味を示さなかった。
一方Officeについては、MicrosoftはOffice 2007からXPSおよびPDFフォーマットでのドキュメント保存機能を削除する方針だ。ただし、ユーザーは同社のウェブサイトからパッチをダウンロードし、こうした機能を実装させることができる。
この手順さえ踏めば、Office 2007は現行のテスト版と同じ働きをするようになる。なお、Officeの第2ベータ版は先週一般公開された。
元通りの機能に戻すためには、両方のコードをダウンロードしてから、インストールするという、追加的な作業を行う必要がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」