アプリケーションスイート「Microsoft Office」でAdobe SystemsのPDF技術を使用するための交渉が決裂したことを受け、MicrosoftがAdobe との欧州での訴訟に備え始めている。
Microsoftは、まもなく登場するOfficeの新バージョンでAdobeのPDFフォーマットをサポートすることを2005年10月に発表していた。だが、4カ月にわたる両社の交渉が行き詰まったと、Microsoftの弁護士が米国時間5月2日に明らかにした。独禁法訴訟を担当する同社の法律副顧問Dave Heiner氏によると、AdobeはMicrosoftに対し、Office 2007のベータ版から(ファイルを)「PDFとして保存」する機能を削除するか、これを残して有償とするかの、いずれかの対応を求めているが、Microsoftではこれを無償で提供したい考えだという。
Heiner氏は、「『PDFとして保存』の機能は、顧客からの2番目に多く寄せられる要望である」とし、「Adobeは、PDFがオープンなフォーマットであると公言している。(競合製品の)OpenOffice、WordPerfect Office、Apple(Computerのアプリケーション)は既にPDFをサポートしていて、これを売りとしている。Microsoftも同様にPDFをサポートしていいはずだ」と付け加えた。
Adobeは、Microsoftが同機能をOffice 2007に搭載した場合、同社を独禁法違反で欧州委員会に提訴することを示唆したと、Heiner氏は付け加える。
Adobeは、MicrosoftによるPDFフォーマットのサポートについて世界中の規制当局と協議したことを認めたうえで、独禁法や価格操作規制に対する違反はしていないと主張した。
Adobeの広報担当Holly Campbell氏は、「協議を行った監督機関は独禁法や価格操作の問題を管理するのと同じところだ。したがって、われわれの行動に違法性はないと考えている」と語った。
Microsoftに近い情報筋によると、同社は、Adobeの最高経営責任者(CEO)Bruce Chizen氏からMicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏宛てに2月に送付されてきた書簡で初めてAdobeがこのことを懸念していると、知ったという。
Adobeは過去にも、次期OSであるWindows Vistaに「Metro」のコード名で開発していたXML Paper Specification(XPS)フォーマットを搭載するというMicrosoftの計画に異議を唱えた。
その結果、MicrosoftはPDFやXPSのフォーマットでファイルを保存する機能をOffice 2007から削除する計画だ。これらの機能は、顧客自身がMicrosoftのサイトから無償ダウンロードし、追加できるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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