小林氏 基本的には広告です。ユーザーの許諾を得て広告を配信するオプトインや、売上の一部を支払うアフィリエイト、サイトの内容に合った広告を表示するGoogleのAdSenseなど、手法自体は変化していますが、広告が基本というところでは変わりません。それ以外では、ユーザー課金があります。
田中氏 インターネット業界における収益モデルは広告、EC、ユーザー課金、ASP、トランザクション課金などに実は絞られています。最近では募金で集めるという新しい手法もあるようですが…。オープンソースブラウザのFirefoxがそうですね。「世の中に必要なものを作る」といって一般の人に出資を呼びかけるという方法が出てきています。
田中氏 信頼性が高いという点は当然ですが、ユーザーにとって最適なサービスを作っていくことだと思います。他社と比較するのではなく、ユーザーニーズに応えることに注力していくことが大切です。
小林氏 「ヤフーとグーグル、どっちが好きですか」というのと同じです。イメージによって微妙な好き嫌いはあると思います。インターネットの世界では選択肢があるというのは重要ですからね。
田中氏 既存のメディアは意識してます。テレビ広告の市場がインターネット広告に変わったらすごいと思うし、連携したり超えていきたいというのが本音です(笑)
小林氏 オムロンの創業者を知っていますか? 50代で会社を立ち上げました。年齢は関係ないですよ。以前は会社を作るのに最低1000万円はかかりました。でも、今は1円から始められる。年齢に関係なく、誰でも作れるんです。
田中氏 私の知り合いには、17歳で起業した人もいます。何もないところからビジネスを作る人はいるんですよ。
田中氏 朝9時半から夜まで働いていますね。土日もミーティングやイベントがあるので、あまり休みはありません。仕事自体を楽しむというのは大前提です。せっかくやっているのだから、全力を傾けています。仕事を楽しめる能力が大事だと思います。
社員に対しての期待ですが、価値観は人それぞれだと思うので、強制することはありません。ただ、若い時期に何かを達成するという経験しておくといいと思います。仕事、プライベートの境目を作らずに、自分なりに目標を作っていけばいいんじゃないかと思っています。
田中氏 良いサービスを作ったら、ひとりでも多くの人に使ってもらいたい。そのためには多くの優秀なスタッフを集めて会社としても成長していかなければいけません。資金が必要なら増資もしていく。会社として小さくまとまるのを奨励しているわけではありません。方向性を見極めながら、いろいろ考えて実行しています。それが適時、サービスとして現れていくでしょう。
成長には、連続的なものと、非連続的なものがあります。いわゆるコンサルティング会社が考える成長は、主に連続的なものでしょう。非連続なものとは、計算できない部分です。たとえば、ある学生が「最先端企業のアップルコンピュータに就職したい」と言っていましたが、5年前ならば、Windowsが全盛の時代に存在する意味があるのかと言われたほどでした。iPodを思いついた人がいたから、憧れられるような最先端企業に返り咲いたわけです。iPodをヒットさせるのは、計算だけでできることではありません。私がGREEを作ったのも、たまたま思いついたからです。
このように、それまでのビジネスとは違う非連続的なサービスや製品によって、大きく成長するフェイズがある。それは会社が存続しているからこそ、できることです。連続的成長に甘んじず、成功するまで続けるという信念を持ち、非連続なものを生み出すことにも力を注ぐことが重要です。
小林氏 グーグルがなぜ強いかというと、AdSenseで儲かっているからなんです。インターネットバブルで消えていった会社は、もともと赤字だったところが多い。資金が不足するリスクを下げて、自由闊達(かったつ)な雰囲気を作っていくためには、売上を伸ばすか、コストを減らして競争力や体力を付けていくことが大切です。
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