カリフォルニア州ヘイワード発--小型ジェット機メーカーのEclipse Aviation(本社:ニューメキシコ州アルバカーキ)がうれしい悲鳴を上げている。同社が売り出した低価格の新型ジェット機、Eclipse 500に注文が殺到しているからだ。
もちろん、高性能の航空機のことだから、低価格と言ってもほかと比較しての話だ。非常に小型で、マイクロジェット機と呼ばれることもあるEclipse 500の価格は150万ドルだが、その性能は購入や運航に2〜3倍の費用がかかる競合機種にひけを取らないという。
この低価格、高性能ゆえに、Eclipse Aviationは驚くほどの受注残を抱えることになった。先ごろ当地の空港で開催された航空産業見本市で、同社はEclipse 500の予約受注が2400機に達したと述べた。今すぐ手付け金を払っても納入は2008年8月になる。
Eclipse Aviationのセールスマネージャー、Matt Brown氏は「当社では、Eclipse 500には主要な市場セグメントが5つあることを確認した」と語っている。こうしたセグメントとしては、より高価なジェット機を買う意向がない、あるいはそれだけの資金力がない企業、パイロットの訓練用、さらには小型飛行機を使ったエアタクシーサービスなどが挙げられる。
このうち、最も興味深く、議論の的となりそうなのが、最後に挙げたエアタクシー市場だ。米連邦航空局(FAA)の予測によると、コストの低いマイクロジェット機の登場で、企業または個人が所有するビジネスジェット機の運航数は3倍に膨れ上がるという。こうなると、少なくとも理屈の上では、空域はますます混雑し、マイクロジェット機と商用の旅客航空会社が共用する大規模な空港では運航の遅れが増すことになる。
マイクロジェット機の問題を別にしても、運航遅延は増加しつつある。米運輸省の監査官を務めるKenneth Mead氏は、連邦議会上院の委員会において「2005年第1四半期、到着が遅れた便は前年同期に比べて17%増加し、全便の25%以上がその影響を受けた」と述べている。
Mead氏はEclipse 500のようなマイクロジェット機の就航数は2016年までには4500機にのぼるとの予測を示し、「それでなくても込み合っている空をさらに混雑させる可能性」があると警告を発した。
Eclipse 500の大口納入先の1つ、DayJetは2005年に、239機のEclipse 500を発注済みで、さらに70機分のオプション契約を結んだことを発表している。ソフトウェアメーカーCitrixの創業者で、DayJetを興したEd Iacobucci氏は次のように語った。「これはユーザーそれぞれのニーズに応える交通システムだ。ニューヨークからアトランタへ飛ぶといった主要路線はターゲットにならない。むしろ、そこから派生して生じる二次的、三次的な市場に即し、ニーズのあるところを直線的に結ぶ路線に使われるだろう」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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