欧州におけるMicrosoftの独占禁止法違反をめぐり、同社と欧州の規制当局との攻防が続く中、Microsoftは競合相手であるIBMの召喚を求めたが、米国の連邦判事は米国時間4月20日に同社の請求を却下した。
Microsoftは、IBMと欧州委員会(EC)の間で交わされた文書や手紙の提示を求めた。ECは2004年に、Microsoftに対し歴史的な独占禁止法違反是正命令を下した。ECは現在、Microsoftが同命令に列挙されている是正措置を取らなかったことを理由に同社に莫大な罰金を課すべきか否かを検討中だが、IBMはその結果を左右する第三者的立場にある。
Microsoftは召喚請求を行った理由について、同社が提示を求めている文書は、欧州委員会の異議声明(statement of objections)に対する弁護に役立つ可能性があるためと主張している。また同社は、IBMだけでなく、Novellなど、この件に関与する他の第三者企業の召喚も求めた。しかし、ボストンの連邦裁判所は最近、Microsoftが行ったNovellの召喚請求も却下した。
ニューヨーク南部地区地方裁判所のColleen McMahon判事は、20日の判決の中で次のように述べている。「Microsoftは、その報告書の全体または一部が、同社の強力なライバルであるIBMの努力の結果であることを証明することにより、欧州委員会が(Microsoftの独占禁止法違反を証明するための証拠として)拠所としているそれらの報告書の信憑性を失わせたいと考えている。」
Microsoftは、同判決に対する控訴は行わないと発表した。
Microsoftの広報担当は、「これは明らかに不吉な前兆であり、われわれはこれ以上(IBMらの召喚を)求めるつもりはない」と述べ、さらに次のように続けた。「ここ2〜3週間で状況が変わった。われわれは、欧州委員会と同委員会の監視委員からある程度明確な説明を受け、それらは大いに役立った。今後は、彼らとの前向きな連携に注力していく。」
McMahon判事は、Microsoftの召喚請求を却下した判決の中で、同社が求めている文書は全て欧州委員会がすでに入手済み、または入手することになるため、Microsoftは同委員会に対して文書の提示を求めるべきだ、と指摘した。
同判事は判決文の中で、「海外の裁定機関は、裁定の対象者に対する管轄権を有し、自らその者に対し、証拠の提出を命じることができる」と述べ、さらに次のように続けた。「Microsoftは、欧州委員会に対して文書の提示を求めなくてはならず、IBMに直接提示を求めるべきではない。これに関連して、海外の裁定機関がその証拠を入手可能か否かが問題になるが、このケースでは可能である。」
またMcMahon判事は、(米国の裁判所が)Microsoftの召喚請求を受諾すれば、米国政府当局と海外の裁判所の間の管轄権問題に関する法律を損ないかねないと指摘した。
「Microsoftの(召喚)申請の背後に、『海外の証拠収集に関する規制や外国のその他の政策』をうまく回避したいという同社の意図があることは明白だ」(同判事)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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