欧州の反トラスト規制当局は、Microsoftが発売する予定の「Windows Vista」に関して競争上の懸念を表明した。同局が懸念しているのは、MicrosoftがOSにインターネット検索機能や、PDFに似たフォーマッティング機能を組み込む可能性があることだ。
欧州競争委員会が現地時間3月29日に発表した声明によれば、競争政策担当委員のNeelie Kroes氏は3月20日の週にMicrosoftに対して書簡を送り、Vista(の機能)と、2004年3月に下された裁定の遵守という2つの点について懸念していることを伝えたという。
1つ目の懸念点は、インターネット検索、デジタル著作権管理、PDFのような形式の文書を作成するソフトウェアといった、すでにMicrosoftや他社から個別に提供されている製品の機能がVistaに組み込まれる可能性に関するものだ。
そしてもう2つ目の懸念は、Microsoftが、Vistaとの相互運用性を確立する上で必要な技術情報をサードパーティーにすべて開示しないのではないかというものだ。
欧州委員会は、Microsoftが2004年3月の委員会裁定を遵守していないという申し立てに関して、3月30日から2日間、口頭審理を行う予定だ。また、MicrosoftのOSと競合他社製品との相互運用性という問題は同裁定の核心的なテーマでもあり、欧州委員会は同社に対して200万ユーロの罰金を科すかどうかを決定することになる。
欧州委員会では、こういった懸念を明確にするために書簡を送ったものの、反トラスト規制当局が公式な調査を開始したわけではない。
一方、Microsoftは、Vista(の相互運用性を確立するため)にサードパーティーを巻き込むよう努力していると主張している。
欧州委員会からの書簡をまだ受け取っていないというMicrosoftは、3月29日に出した声明のなかで、「業界および規制当局に対し、われわれの製品開発計画の情報を提供することはこれまでも、そしてこれからも重要である」と述べるとともに、「われわれは、パートナーや競合他社がWindows Vistaと連携する製品やサービスを構築できるよう、彼らを計画に巻き込むべく努力してきた」とも述べている。
しかし業界他社は、Vista以前のMicrosoft製OSは、他社製品との相互運用性に欠けていると異議を申し立てている。
European Committee for Interoperable Systems(ECIS)は利害関係者として、今週の審理において証拠を提出する予定だ。ECISには、Sun Microsystems、RealNetworks、IBM、Oracle、Corel、Nokia、Red Hat、Opera、Linspireなどが参加している。
ECIS委員長のSimon Awde氏は声明のなかで、この「業界は、ワークグループサーバ市場において、消費者が選択と競争の利点を再び享受できるよう、一刻も早く相互運用性を確立したいと考えている」と述べるとともに、「欧州委員会の裁定から2年が経っているにもかかわらず、われわれはまだそれを実現できていない」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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