米国内で支持広がるISPへのデータ保持義務付け--プライバシー擁護派からは懸念の声 - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年04月17日 16時38分

 全米インターネット産業協会(U.S. Internet Industry Association:USIIA)の会長を務めるDave McClure氏は、「(ユーザーのオンライン活動の)データが有用である証拠や、警察が問題の存在を知ってから(捜査の着手まで)の時間がかかり過ぎていることが問題の原因ではないという証拠が一切示されていない」と語る。USIIAは、中小規模のインターネット関連企業の業界団体だ。

 ISPにデータ保持を義務付ける構想を強く支持する人々は、支持の根拠として児童ポルノ(の取り締まり)を挙げているが、保存されたデータは、例えば、薬物犯罪、税金詐欺、テロ活動といったあらゆる犯罪の捜査に利用される恐れがあるとMcClure氏は指摘する。「この構想の背景にある意図は正当とは言えないようだ」(同氏)

 ISPにデータ保持を義務付ける法案は、アドレスの保存を義務付けるモデルとある種のコンテンツの保存を義務付けるモデルの2種類に大別できる。前者のモデルでは、各企業は、特定の時間に顧客に割り当てたインターネットアドレスに限って記録が義務付けられる。一方後者のモデルは、欧州で採用されたモデルと似ており、ダイヤルした電話番号、訪問したウェブページのコンテンツ、電子メールの送信先など、より多くの情報の保存が義務付けられる。

 米国土安全保障省(DHS)のMichael Chertoff長官は、同省で3月に開かれたプライバシーに関する会合で、データ保持義務付け構想への広範な支持を表明したものの、具体的にどのモデルを支持するかは明らかにしなかった。またChertoff長官はある質問に対する回答の中で、連邦警察に企業が一定期間構築し、保持してきたデータ貯蔵庫内の情報の照会を認めるべきだと指摘した。

 Chertoff長官は、「それは、ある種のデータの保存を義務付けるモデルの1つになる可能性がある」とした上で、「具体的には、政府自らデータを保持するのではなく、民間部門がそれらのデータを保持し続けられるという内容になるだろう。ただし、われわれがそれらのデータを利用できるよう民間部門が一定期間それらを保持することが条件になる」と語った。

 FBIのRobert Mueller長官は、より率直な見解を述べている。1月のFinancial Times紙に長官の次のような発言が掲載された。「データ保持に関する標準化された規制や規則の制定や、迅速な情報交換を可能にするメカニズムの構築が必要だ」。この発言は、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会の中でMueller氏が行ったものだが、同氏は他にも、コンピュータ犯罪に対処するための国内法の統合調整を支持する発言を行ってきた。

 13日に、FBIとDHSにコメントを求めたが、どちらからも回答は得られなかった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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