久しく続いていた反目が和らいだと言ってよいかもしれない。
Apple ComputerがMac上でWindowsを動作できるようにするソフトウェアを発表したが、これに対するMacintoshコミュニティの反応がすこぶる好意的なのである。
いつもの通りであれば、Mac信者はMicrosoftのOSに関するものなら何であれ冷笑的な態度を取るというのが、呼吸をするのと同じくらい自然な反応だ。
しかし、Appleが米国時間4月5日に行った「Boot Camp」についての発表を受けたMacコミュニティは、いつもの反応を見せる代わりに、新ソフトウェアを賞賛する楽観的な意見でMac用掲示板を埋め尽くした。現在はベータ版が提供されているBoot Campは、IntelベースのMac上でWindows XPを動かすためのソフトウェアで、Mac OS Xの次期メジャーアップグレード版にも搭載される予定だという。
「20年来のMacintoshユーザーとしては、Boot Campの発表は心強く感じられるものだった」と、メリーランド州ティモニアムに住む医師、Ishan Bhattacharyaさんは、CNET News.comに対して語った。「わたしはWindows(のGUI)が好きではない。家で使いたいと思うWindowsアプリケーションはいくつかあるのだが、あの味気ない見た目のPCを購入するのは勘弁してほしかった。だが今はそんな心配もなくなったわけで、さっそく(Intelベースの)iMacを注文した」(Bhattacharyaさん)
すでにIntelベースのMacを所有しているユーザーの中にも、このソフトウェアが出るのを心待ちにしている人々がいる。Windows用のビデオドライバをMacにインストールすれば、グラフィックを多用するWindows専用のゲームを動かせるようになるからだ。
ロンドン在住のJamie Harrisさんは、「(Boot Campの)使い勝手がシンプルなところが気に入った。正規のビデオドライバを使うというアイディアも悪くない。これで遊ぶことのできるゲームが山ほど増える」と話している。
シアトルで学生として勉強しながらOS X向けのソフトウェアを開発しているColin Cornabyさんは、Boot Campは、Macへの移行に不安を感じている長年のWindowsユーザーに足がかりを与えるものだと考えている。
「Appleはこれまで、Mac OS XからWindowsへ移行するための方法をほとんど提示してこなかった。だがようやく、既存のソフトウェアを慣れている環境で稼働させながら、OS Xに慣れていくことができるようになった」(Cornabyさん)
もちろん、すべてのMac愛好者が今回のAppleの動きを賢明だと思っているわけではない。Boot Campのせいで、「Photoshop」のAdobe SystemsなどのソフトウェアメーカーがMac専用版を開発しなくなるのではないかと懸念するユーザーも存在している。
ダラスに住むMacユーザーのBryan Kennedyさんは、「AppleマシンでWindowsを稼働できるとすれば、開発者がみずからのアプリケーションをOS Xに移植する意味はどこにあるのか」と述べた。「わたしなら、もともとWindowsで動作していたソフトウェアを、OS X上で動作できるように書き直したり、世界で最もすぐれたハードウェアに対応させたりすることに無駄な金を使いたくない」(Kennedyさん)
一方、Appleは、Boot Campウェブページであっても、Windowsについてよく知られている問題に比べ、Macは安全だという評判について述べるのを忘れてはいない。
Appleのサイトには、「残念なことに、Windows XPだけでなく、今後予定されているVistaでさえ、1980年代の旧式なBIOSに依存している」と書かれている。そして、「しかし、Boot Campを使うことで、Macは、20世紀と21世紀の両方でスムーズに動作できるようになった。MacでWindowsを動作させることは、WindowsをPCで動作させることと同じだ。それは、Windowsの世界でまん延しているのと同じ攻撃の対象になることを意味する」と続けている。
これに対して、Macファンの一部は、AppleがWindowsのセキュリティーホールへの不満を表したことについて楽しんでいる。
「AppleはBoot CampのウェブページでWindows XPについて少し皮肉っぽく書いているが、あれはおまけみたいなものだ」と、Bhattacharyaさんは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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