AppleがMac上でWindowsを動作させることを認める決断を下したことで、PCユーザーの選択肢は広がった。しかしアナリストらは、すべてのユーザーがその自由を享受できる状況にあるわけではない可能性を指摘している。
Appleは米国時間4月5日に「Boot Camp」というソフトウェアを発表したが、答えられていない疑問が数多く残されている。現時点はベータ版となっているBoot Campを使えば、IntelベースのMacユーザーは、ハードディスクにパーティションを作成し、「Windows XP」(Service Pack 2以降)と「Mac OS Xバージョン10.4.6」を同時にインストールすることができるようになる。Appleによれば、2006年後半から2007年早々にリリースされるMac OS Xバージョン10.5「Leopard」にはBoot Campが搭載されることになるという。
Boot Campに関する詳細な情報が欲しいという要求に対して、Appleの広報担当者は回答をしていない。そのため、業界アナリストらは同社の戦略と、PC市場に与える潜在的な影響について憶測をめぐらせている。Boot CampによってWindowsアプリケーションが実行可能になるので、Apple製品がより多くのPCユーザーに浸透していくだろうというアナリストもいる。だが一方で、少なくとも最初のうちは、デュアルブートPCを使いたいというユーザーに市場が限定されるというアナリストもいる。
The Enderle GroupのアナリストRob Enderle氏は電子メールでのインタビューに応じ、「市場に残る大きな疑問は、Appleが、Windowsを実行できるハードウェアの販売に成功するかどうかだ。成功というのは、Appleのハードウェアシェアが飛躍的に向上し、(Windowsに対抗できるほどの)競争力を獲得できるかということだ」と述べている。
IDCのアナリストRichard Shim氏によると、Appleの決断において明らかに評価できる点は、職場や学校でWindowsアプリケーションに縛り付けられているPCユーザーが、IntelベースのMacを購入リストに加えることができることだという。
同氏は、「これは賢明な動きだと思う。おそらく、もっと前に実現されていてもよかったはずだが、Appleの人間は単に頑固だった」と述べている。同氏はまた、ドキュメント、表計算データ、財務情報といったWindowsデータがある場合に、Boot CampによってWindowsの世界とMac OSの世界を橋渡しする方法が提供されると述べている。
しかし、Boot Campのユーザーが、Appleシステム上で動作するWindows XPに対してどのようにサポートを受けられるのかは不明だ。AppleはBoot Campの発表直後、Windows XPの販売もサポートも行わないと明言した。Windowsの世界では、大多数のユーザーにとっての頼みの綱はPCベンダーとなっている。小売店で箱入りのWindowsを購入するユーザーは、Microsoftからサポートを受けることができるが、無料でできる質問は2つまでであり、その後は質問ごとに35ドルの料金を支払わなければならない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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