Intelは、インドの田舎のような場所での使用を想定した頑丈なコンピュータプラットフォームを開発したと発表した。このマシンは、熱やほこり、不安定な電源などの問題に対応できるものになっているという。
一般ユーザー向けのPCは、ほとんどが過酷な気候条件や不安定な電力供給に耐えられるようには設計されておらず、それが一部の開発途上国での利用を著しく制限する要因となっていた。
しかし、今回発表した「Community PC」は、機能的にも通常のコンピュータと変わらず、しかも過酷な利用条件にも耐え得るような仕組みが採用されていると、Intelの広報担当Agnes Kwan氏は述べている。
Community PCは、気温摂氏45度そして湿度は最高で85%まで耐えられるように設計されており、取り外し可能なダストフィルターも装備されている。マザーボードの冷却用に、シャーシ内にはファンが組み込まれている。電源は「特注の電力供給ユニット」で確保するが、マシンの消費電力は100ワット以下となるよう考えられており、コンピュータの発熱を抑えることにも役立つという。
Intelは、Community PCのコンポーネント生産に関して、WiproおよびHCL Technologiesの2社と提携した。Wiproはインド第2位のIT企業で、またHCL TechnologiesはインドのリモートITインフラに特化した企業。
Kwan氏によると、Intelは現地のインターネットサービスプロバイダーと共同で、無線および有線サービス向けのインターネット接続技術の開発も進めているという。
貧しい人々にPCを提供しようというプロジェクトは、「Simputer」やNicholas Negroponteの提唱する「100ドルPC」など、これまでにもいくつか存在したが、これらは発展途上国の農村部に暮らす人々がコンピュータなどの機器を所有できるようにすることに主眼が置かれていた。しかし、このCommunity PCはその名前が示すように、多くの発展途上地域でよく見られるコミュニティによる共有というアイデアを借用したものとなっている。
「われわれは経験から、発展途上国でICT(情報および通信技術)を普及させるには、普通のPCを提供だけでは十分でないことを認識している。特定の国や地域の利用のされ方や環境に合わせて、技術に手を加える必要があることも多い」とIntelのWilliam M. Siu氏(Channel Platforms Group、バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)は声明文の中で述べている。
Community PCの普及プログラムでは、農村の住民に私有のPCを複数提供するのではなく、村の売店(キオスク)にPCを1台提供して、住民が時間単位で借りれるようにしたり、売店の店主からサポートを受けられるようにしていく。
PCは売店側の収入源でもあるため、発展途上国向けに出される他のPCよりも高い価格を設定できる。Intelはマシンの価格を明らかにしなかったが、同社は地元の銀行と組んで、Community PCキオスクの開設を検討する村の起業家に対し、支払計画を提供していくと述べている。Kwan氏によると、このキオスクプログラムにはサンスクリット語で「目覚め」を意味する「Jaagruti」という名前が付けられているという。
この「Jaagruti kiosk Community PC」プラットフォームは、将来的に認証ベースのアクセス機能を搭載する予定で、それにより支払計画を利用している人たちのPCを、銀行側でリモートアクセスで制御できるようになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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