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アップルコンピュータ誕生から30年--盛衰を振り返る - (page 3)

文:Ina Fried(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年03月31日 08時00分
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 この困難な移行は、Apple最大の商業的成功であるiPodの土台も作り上げた。

 音楽分野は、Appleの近年の成功の主な原動力だが、元来同社がリードしていた分野ではなかった。初期のハイエンドiMacには、CD-RではなくDVD再生ドライブが搭載されていた。

 しかし、Appleは音楽分野参入にあたり、全力でこれに取り組んだ。同社はまずiTunesを投入し、驚くほど簡単にコンピュータで音楽を聴いたり管理したりできるようにした。そして、MicrosoftがWindows XPを発表しようとしていた2001年10月、AppleはiPodを発表した。同製品は、最初のデジタル音楽プレイヤーでも、最初のハードディスク搭載機でもなかった。しかし、他社の製品よりサイズが小さく、また使いやすいスクロールホイール式のインターフェースを採用したことで、iPodは他社がつまずいていた部分で成功を収めた。

 iPodは瞬く間に称賛を浴びたが、しかしそれがビジネス的に大成功を収めたのは、Appleが同製品をWindowsに対応させ、さらにその後すぐ「iTunes」のWindows版を出してからのことだった。iTunesのWindows版登場時には、「Hell Froze Over(あり得ないことが起こった)」と書かれた巨大なポスターが公開された。

「マック教」を広める

 Appleによるもう1つの大胆な動きは、2001年の小売業参入だ。Gatewayが郊外のショッピングセンターから撤退する一方で、Appleは高級ショッピングモールの店舗スペースを次々と確保していった。

 コストはかかったものの、Apple Storeは同社製品を新しい顧客に紹介する役割を果たすとともに、Macファンの集いの場にもなった。Kahney氏によると、これらの販売店のおかげで、マック教はこれまで年2回開催されてきた「Macworld Expo」だけでなく、近所でいつでも布教活動ができるようになったという。

 Kahney氏は、「今では、Appleの販売店がどこからでもすぐ行ける場所に進出している」と語り、洗練されたデザインの店舗には、実際に購入する人、Genius Barsで対面で相談したいユーザー、そして「単純にMac気分に浸っていたい」筋金入りの多数のAppleファンが集まっていると指摘する。

 これらの店舗には、進化し続けるiTunes Music StoreやiPodを紹介する役割もある。Appleは昨年のホリデーシーズンに、iPod Nanoやビデオ対応iPodを家に持ち帰りたいという多数の人々に対応する専門の担当者を、ハンドヘルドコンピュータを持たせて店舗内に配置していた。

 Appleの音楽配信ビジネスが独占禁止法の規制の対象となっているが、これは同社の経営状態が劇的に改善されたことを示す証拠と言える。Appleの音楽ビジネスは、それほど圧倒的な優位に立っている。

 Appleの音楽分野における振るまいについては、以前から不満の声が上がっていた。同社は、自社の著作権保護技術のライセンス提供を拒否したが、そのために他社がiPodで再生可能な音楽コンテンツを配信したり、ユーザーがiTunesで購入した楽曲をiPod以外の装置で再生したりすることができないでいる。フランスでは、この市場を開放するための法案制定が検討されているし、ほかにも数件の小規模な訴訟が係争中となっている。

 Hertzfeld氏は、Appleが音楽事業における方針を見誤ったと考えている。「デジタル音楽業界は著作権保護メディア用の普遍的な標準を求めており、そしてAppleが『FairPlay』技術のライセンス提供を認めれば、それが標準として選ばれることは明らかだ。ユーザーに足かせをはめ、彼らの選択肢を故意に制限することは、ユーザーに対して失礼であり、長期間にわたって通用するとは思わない」と、Hertzfeld氏は言う。同氏は、Appleがいずれは方針転換すると見ているが、ただし「遅きに失しなければよいのだが」と付け加えた。

 一方、iPodの登場によって、多くの企業がアクセサリ製品を開発するようになった。それによって生まれた市場の規模は、すでに10億ドルを超えているという説もある。ただし、Appleも独自のアクセサリ製品を携えてこの市場に参入しているほか、iPod関連製品のメーカー各社からロイヤリティを徴収することまで検討し始めた。そうした中で、多数のアクセサリメーカーが多様化に目指して動き出し、他社の携帯音楽プレイヤーや携帯電話向けに製品開発に取り組むようになっている。そのため、iPodの大ヒットでもたらされた幸運も長くは続かないと密かに考えている者もいる。

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