アップルコンピュータ誕生から30年--盛衰を振り返る

文:Ina Fried(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年03月31日 08時00分
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 Steve JobsとSteve Wozniakの両氏は1970年代に、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)の学生寮の各部屋を回り、「ブルーボックス」というタダで長距離電話をかけられる電子機器を売っていた。

 ハイテク業界にとって幸いなことに、2人は心を入れ替えてコンピュータを作り始めた。

 創業30周年を迎えたApple Computerは、ちっぽけな新興企業から有名企業へと成長し、またコンピュータだけでなくデジタル音楽プレイヤー「iPod」のメーカーとしても同じくらいよく知られる文化的な象徴となった。

 Microsoft Researchの責任者を務めるRick Rashid氏によると、「ハイテク業界は変化がすべてであり、そのなかで生き残れる会社はどこでも生まれ変わっている。30年生き残った企業というのは、普通というよりむしろ例外的な存在であり、それだけで賞賛に値する」という。Rashid氏は、Mac OS Xの中核部分である、オープンソースのMachカーネルを開発した人物だ。

 Appleは、Coca-ColaやFederal Expressに匹敵するブランドを持ち、昨年の売上は過去最高の139億3000万ドルを記録、利益も13億4000万ドルに達した。

 Appleの現在の成功を考えると、1990年代に同社がIT業界を代表する有力企業の座から滑り落ちたことを忘れがちになる。Appleが苦戦している間に、Microsoftは世界最大のソフトウェアメーカーに成長し、またJobs氏とWozniak氏が立ち上げに一役買ったPC業界では、Compaq ComputerやIBMなどの各社が支配的な地位を確立するようになった。

 しかし、この時期のことに触れずに、その後のAppleの復活がいかに素晴らしいことであるかを語るのは難しい。Compaqは現在、Hewlett-Packard(HP)が販売する製品のブランド名としてしか残っておらず、IBMはもはやPCを製造していないが、それに対してAppleはおそらく同社にとって最高の時を謳歌している。iPodはポップカルチャーを代表する大ヒット商品となっている。また一部の人々には信じられないことだろうが、MicrosoftがWindowsのアップグレードで苦戦するのを尻目に、Appleは同社のフラッグシップ製品であるMac OS Xをやすやすとアップグレードし続けている。

 ビジネスにやり直しは利かないとも言われるが、これはAppleにとっては無縁の話といっていい。

 Appleはコンピュータを発明したわけではない。しかし同社は、人々が本当に使いたいと思うマシンを実現した。それが1977年4月に発売した「Apple II」だった。

 Apple IIが素晴らしい成功を収めていた間にも、Appleはすでに2つの後継製品の開発に必死に取り組んでいた。ビジネス向けの「Lisa」と、その一般ユーザー向けの「Macintosh」である。Bud Tribble氏、Andy Hertzfeld氏、Bill Atkinson氏、そしてJef Raskin氏などからなるチームは、Apple本社にある別の建物に陣取り、後に同社の運命を変えるプロジェクトを進めていた。

 「だれもApple IIのことなど気にしていない」と、Steve Jobs氏は1981年2月にHertzfeld氏に向かってそう言った。Jobs氏は、Apple IIグループで働いていた若き日のHertzfeld氏を引き抜き、自分の指揮するMac開発チームに連れてきた。Jobs氏は、Hertzfeld氏が進めていた新OSの開発作業を保存することさえ許さなかった。Hertzfeld氏が当時のMac開発の様子について記した「Revolution in the Valley: The Insanely Great Story of How the Mac Was Made(邦題:「レボリューション・イン・ザ・バレー/開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏」)」によると、Jobs氏は「Appleの未来はMacintoshにかかっている。今すぐ開発を始めなさい」と語ったという。

 Appleは、当時すでに存在していた革新的な技術--マウスやGUI、レーザープリンタなどをMacに採用し、そして大衆の手に出版の可能性を届けるための手段としてそれらの技術を利用した。

 9インチの小型白黒画面と3.5インチフロッピードライブを搭載し、奇抜な形をしたMacは、多数の熱狂的ファンを即座に獲得した。このブームは後に「Mac教(Cult of Mac)」とまで呼ばれるようになった。

 Wired Newの「Cult of Mac」コラムを執筆し、同名の著書もあるLeander Kahney氏によると、「当初は意識的なマーケティング戦略だった」という。「IBMに対抗してビジネスを展開するAppleは、Macを差別化するために、常にカウンターカルチャー的な、大企業や体制に代わる選択肢としてMacを売り込んだ」(Kahney氏)

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