あるドイツの研究機関が、欧州最強と思われるコンピュータの稼働を開始した。
Julich Research Centerが、IBMの「Blue Gene」ベースのスーパーコンピュータを使い始めた。これは「Julicher Blue Gene/L(JUBL)」として知られるもので、8ラック構成になっている。
このため、JUBLには1万6384個のプロセッサが搭載され、最高処理速度は45.6テラフロップスとなる。2005年11月に世界のスーパーコンピュータトップ500のリストが更新されたが、これはそのなかで5位につける性能だ。
同センターを率いるThomas Lippert氏は先週、JUBLがさまざまな科学的問題の解明に使われると、ドイツで開催中の「CeBIT」トレードショーで語った。Lippert氏によると、JUBLはプロテインフォールディングや、液体と気体の動きのモデル化といった、高度なタスクを実行できると言う。
「ガスの凝縮過程を追いかけてモデル化したり、北極上空のオゾン層の破壊状況を監視したりできる」とLippertは言う。「また、新しいチップのナノ構造を解明し、データストレージ用の新素材を開発するのにも使える」(Lippert氏)
同氏はJUBLの価格については明らかにせず、1200万ドル(1000万ユーロ)以下であるとだけ言った。
Lippert氏によると、このスーパーコンピュータでは最高5つのプロジェクトを同時に実行できるという。欧州全域の研究者が自分のプロジェクトを実行するよう依頼できるため、これが、ドイツをはじめ、欧州諸国での科学的研究を大きく進展させるきっかけとなることを同氏は期待している。
「欧州から米国への頭脳流出を止め、その動きをドイツに向けたい。欧州全体のためになることを願っている」とLippert氏は言う。
世界最大のスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」は、カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所にある。Blue Gene/Lは6万5536個のプロセッサを搭載し、処理速度は280.6テラフロップスに達している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」