ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は3月15日、2006年春に発売する計画であった次世代ゲーム機「PLAYSTATION 3(PS3)」の発売時期を11月上旬に延期することを正式に発表した。PS3で採用するBlu-ray Discの規格化などが遅れたため。
PS3の発売時期の遅れについては、英Financial Times紙が2月下旬に報じていた。この時点では、2006年春の発売計画に変更はないとしていたが、「100%とは言い切れない」(SCEI)と含みを持たせていた。
問題となったのは、Blu-ray Discで採用される著作権保護技術「AACS(Advanced Access Content System)」だ。この仕様がなかなか決まらなかったため、Blu-ray Discの規格化が遅れた。SCEI代表取締役社長兼グループCEOの久夛良木健氏によれば、当初SCEIではBlu-ray Discの仕様が2005年8月末に決まるものと想定していたという。しかし、実際にはBlu-ray Discの規格が決まったのは2006年1月のこと。さらに、Blu-ray Disk AssociationからBlu-ray Diskのライセンスが始まるのは2006年4月となり、PS3を2006年春にリリースするのが不可能となった。
SCEIでは11月上旬に、日本だけでなくアジアや米国、カナダ、欧州でもPS3を発売する。同社によれば、世界で同時期に同じゲーム機を発売するのはこれが初という。発売当初からPS3を月間100万台生産できるような体制を整えていくとのことだ。
PS3のスペックについては、2.5インチの60GバイトHDDとLinux OSを搭載することを明らかにした。また、PS3用のゲームはすべてBD-ROMとし、全世界で月間1000万枚のBD-ROMを生産できる体制を整えるとした。
BD-ROMのコストについては、「早期に現在ある2層式のDVDとほぼ変わらない製造コストにする。1枚あたりの製造コストが1000円なんてことにはならない」(SCEI代表取締役社長兼グループCEOの久夛良木健氏)とした。
なお、PS3はPlayStationおよびPlayStation 2のゲームタイトルもプレイ可能で、CDやDVDの再生にも対応する。
SCEIではPS3の発売に合わせて、オンラインサービス「PlayStation Network Platform」を全世界で開始する。ここでは文字や音声、ビデオを使ったチャットができるほか、ユーザー同士を結びつけるマッチングなどを行う。また、ゲームコンテンツなども販売する。基本サービスは無料といい、「オンラインゲームに必要なインフラなどは用意する」(久夛良木氏)とした。なお、同様のサービスとしては、マイクロソフトが提供するXbox Liveがある。
久夛良木氏はさらに、「PlayStationでは3D対応により、空間の概念を手に入れた。PS3ではさらにライブという概念を取り入れる」と話し、今後の展開として、現実の時間の流れを活用したコンテンツを考えていることをほのめかした。
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