ハノーバー(ドイツ)発--IBMが、当地で開催されたCeBitで、Cellプロセッサを搭載するブレードサーバのプロトタイプを公開した。
同社は、鼓動する心臓の3Dビデオ映像を、ビジュアライゼーションソフトウェアを使ってリアルタイム表示させるCellブレードサーバのデモを行った。研究者はこのシステムを利用して、心臓のイメージをあらゆる角度から観察したり、血液や特定の組織を取り除き、心臓の中心部を透して見られるようになる。
このイメージを表示させるには膨大な量のデータを処理する必要があるが、IBMのUtz Bacher氏(Linux on Cell開発チームリーダー)によると、9コアのCellチップを採用するブレードサーバなら、そのような作業負荷にも十分対応できるという。
「従来のコンピュータでは、透過処理のようなタスクを扱うのはかなり難しい」と同氏はZDNet UKに語り、さらにビジュアライゼーションソフトウェアが動作するCell Bladeサーバは、油脈を示す地質構造を探すために大量のデータを選別したい石油業界にも有益だ、と付け加えた。
IBMとソニー、東芝の3社が共同設計したCellチップは、ソニーの「PlayStation3」にも搭載される予定だ。同チップはPowerPC 970のコアを1基と8基のDSPコアを搭載しており、DSPコアはグラフィック処理やベクトル計算を受け持つ。IBMのCellブレードは、それぞれが2基のCellチップを搭載し、これらが1GバイトのDRAMを共有する形となっている。
Cellブレードは、IBMの既存のブレードサーバに比べて2倍の厚さになるため、典型的なデュアルプロセッサのブレードなら14枚収容可能であるところが、ブレードシャーシ1台にわずか7枚しか収納できない。CeBitに展示されていたシャーシには、6枚のCellブレードが収められていた。
IBMでは、第3四半期にCellブレードを市販する計画を進めているが、価格はまだ明らかにしていない。また、既存のブレードサーバに対してパフォーマンスがどの程度向上するのかも明らかになっていない。
しかし、CeBitに出展されたシステムが搭載していたCellチップは2.4GHzで動作していた。Bacherによると、製品版の動作速度は2.4GHz〜4GHzになるという。
IBMには、Cellブレードのパフォーマンスを将来的に向上させる手段がいくつかある。
Bacher氏は、「今のところ、Cellチップの製造には90ナノメートルプロセスを採用している。これを、60ナノメートル、45ナノメートル、あるいは30ナノメートルにすることが可能だ」とし、各ブレードの搭載メモリ量を増やすこともできると付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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