多くのテクノロジー企業が、ドイツのハノーバーで現地時間9日から開催される大規模な見本市「CeBIT」に参加し、最新の製品や企業戦略を発表して、技術の未来を論じ合う予定だ。
2006年のCeBITは、技術業界にとっては重要な時期に開催されることになる。企業IT支出は緩やかな上昇傾向にあり、ドットコムバブルの崩壊を切り抜けた企業の先行きは明るい。そうした企業には、革新的なハードウェアやソフトウェア、サービスを提供していく力もある。しかし、Googleやウェブベースアプリケーションの躍進やブロードバンドの普及、オープンソースの人気拡大といった一連の要因のために、業界最大規模の企業ですら将来の見通しを立てにくくなっているのもまた事実だ。こうした状況下では、いかなる企業も、発表間近の自社製品に対する関心を高める絶好の機会を逃すわけにはいかないのである。
CeBITは非常に大規模なイベントだ。数千社におよぶ企業が30近くあるホールに所狭しとブースを設け、ファックス送受信機からプリンタ、スマートフォンにデュアルコアチップ搭載ノートPCまで、あらゆるものを展示する。メディアの見出しを飾り、人々の話題をさらうであろうすべてのものを予測することは不可能だが、いくつかの注目に値する重要なテーマと製品をここで紹介しよう。
何か深刻な問題が発生しない限り、9日にはMicrosoftが「Origami」デバイスを発表する予定だ。この「究極の携帯PC」はIntelチップを搭載し、Windows XPに対応している。おそらくは、タッチパネル式の画面を備え、Wi-Fi機能を内蔵する、小さな「Tablet PC」のような製品になると考えられている。また、3G接続機能が実装される可能性もあるという。Samsungが見本製品を展示するのではという声が大きいが、他社も同様の陳列を予定していると思われる。
Tablet PCが失敗に終わった市場で、果たしてOrigamiが成功を収められるのかどうかは、9日になればいくらか見えてくるだろう。Microsoftが同日にOrigamiプロジェクトの詳細を発表すれば、人々の好奇心も満たされるはずである。
MicrosoftはCeBITの活況に乗じて、「Windows Vista」と「Office 12」を大々的に売り込むことも考えている。この機会に、企業ユーザーおよび一般ユーザーとして、両製品とどのようにつきあっていくべきかを検討してはどうだろうか。
IBMもまた、CeBITを存分に活用している企業だ。同社は、高パフォーマンスコンピューティングに関するデモを行う予定で、その中には150名の科学者が1台のスーパーコンピュータを共有するプロジェクトなどが含まれているという。さらに、共同開発に携わった「Cell」チップも展示する。具体的には、大量の科学データやその他のデータの仮想化ソフトウェアを稼働させる、Cellベースのブレードサーバなどのデモが行われることになる。
IBMは、運送会社DHLとの間で締結した、RFID(無線ICタグ)に関するパートナーシップ契約についても発表する意向だ。在庫品管理などの目的で利用されるRFIDは、今回のCeBITでも目玉となるテーマである。
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