これまで平穏な特許法の世界の関心事と言えばBlackBerry訴訟だったようだが、今やハイテク業界の関心は、間近に迫った、より広範な影響が予想される最高裁訴訟に注がれている。
オンラインオークション大手のeBayとネットワーキングシステム開発業者のMercExchangeは、米国時間の3月29日に米最高裁判所に出廷し、長年続く論争に関するそれぞれの意見を提示する予定だ。2003年に連邦陪審は、eBayが同社のサイト上の「Buy It Now」機能に関連してMercExchangeが保有する2件の特許権を故意に侵害したとして、同社に対し、損害賠償金2500万ドルをMercExchangeに支払うよう命じた。Buy It Now機能とは、買い物客がオークションに参加しなくても商品を購入できるシステムだ。
今回、最高裁判所は、事件の事実に関する審理は行わない。その代わり、より広範な問題、すなわち裁判所は特許侵害で有罪となった企業に対し、どのような状況下で終局差し止め命令(問題となっている特許権の使用禁止命令)を下すのが適切か、について審理する。
米地方裁判所判事のJames Spencerも恐らくこの問題について考えていることだろう。同判事も、特許管理会社NTPが保有する特許権を侵害しているとして有罪となったResearch In Motion(RIM)の「BlackBerry」に対する差し止め命令を下すべきか否かを検討し続けているからだ。
eBayの裁判では、米国内の特許審判の大半を扱う米連邦巡回控訴裁判所が、eBayに対し差し止め命令を下すべき、との判決を下した。同裁判所は、公衆衛生の保護といった「重要な公共のニーズに反する」ことにならない限り、特許侵害で有罪判決を受けた企業や個人に対しては必ず終局差し止め命令を下さなくてはならないと考えた。RIMは、最近開かれた法廷で差し止め命令に対する反論を行ったが、その際、同社は反論の主な根拠として、同社のモバイル電子メール機器は、特定の医者や緊急作業員に愛用されており、(「重要な公共のニーズに反しない限り」という)控訴裁判所が判決の中で述べた条件に該当すると訴えた。
しかし、eBayやハイテク企業団体は、巡回控訴裁の見解はあまりに狭すぎ、ハイテク企業各社の言ういわゆる「自動的」差し止めを生み出すと共に、特許に依存しているハイテク業界の安定を脅かすものだ、と主張する。またeBayらは、連邦巡回控訴裁の判決は特許法と矛盾すると主張する。特許法には、裁判官は公益だけでなく、差し止めを行わなければ特許権保持者が「回復不可能な損害」を被る可能性があるかなど、さらに3つの要素を検討した上で、差し止め命令を下す「ことができる」と規定されており、「べきである」とは記されていない、とeBayらは主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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