カリフォルニア州パロアルト発--HP Labsの研究者といえば、将来のデータセンターやトランジスタを生み出す方法の開発に取り組む真面目な人々という印象がある。しかし同社は、本業の合間にゲーム用テーブルを開発しても特に差しさわりはないと考えている。
HP Labsは、米国時間21日に当地で開設40周年を祝うオープンハウスパーティーを開催した。この催しのなかでは、「Misto」というコーヒーテーブルとタブレットPCが組み合わされた製品が披露された。
Hewlett-Packardの研究中枢部門であるHP Labsは、40年間の歴史のなかで、サーマル・インクジェットプリンタなど、いくつかの画期的な技術を発明した。それらの技術はやがて大きな利益を生み出す事業へと発展したと、HPのDick Lampman(研究担当シニアバイスプレジデント兼HP Labsディレクター)は述べている。こうした事業化を成功させるには、単に興味を引くプロジェクトに取り組んで、後は壁の外に放り出してしまうのではなく、HPの製品グループと密接に連携しながら研究プロジェクトに取り組むことが重要だと、Lampmanは述べている。
「われわれは常に、わが社のビジネスに対して現実的な見方をしてきた。われわれの使命は『技術移転』という一言で言い表せる」(Lampman)
Lampmanによると、HP Labsは、HP全体の研究開発費約3500億ドルのうち約5%の予算で運営されているという。600人の従業員を抱えるHP Labsは、HPの既存事業を進展させる実際的なプロジェクトと、たとえば将来のトランジスタを開発する取り組みのように10年経っても見返りのない可能性がある純粋に科学的な試みとに、それぞれ時間をさかなくてはならない。
HPは現在、データセンターの自動化や仮想化を実現する新たな方法の開発に主に注力しており、ソフトウェアの研究に多額の資金を投じていると、Lampmanはいう。同社はまた、顧客が電子メールやビデオコンテンツなど、体系化されていないタイプのデータをもっと取り扱い易くすることにも取り組んでいる。Lampmanによると、これらのデータは新しい政府の規制に合わせて、アーカイブ化され、検索可能にしておく必要があるという。
しかし、少なくともほとんどの人々にとっては、データ処理法の仮想化を研究するよりもゲームで遊んでいるほうが楽しい。HPもこの点は承知しており、ちょっと毛色の変わった家庭向けエンターテインメントPCとして「Misto」の開発に取り組んでいる。Mistoはコーヒーテーブルの形をしており、表面には大型のタッチパネル式画面が搭載されている。このPCの狙いは、複数の人間がテーブルのまわりに集まり、一緒に写真を観たり、ボードゲームを楽しんだり、地図を調べたりといった使い方を実現することだと、同社のPere Obrador(イメージングテクノロジー部門プロジェクトマネージャ)は説明した。
Mistoの心臓部はふつうのデスクトップPCだが、ただしインターフェース管理用にHPが独自に開発したソフトウェアがいくつか使われていると Obradorは述べた。同氏によると、Mistoの価格や発売時期、使用するコーヒーテーブルのスタイルなどはいずれも未定だという。それでも、Mistoを見れば、HPが既存のビジネスを拡大するためにどんな製品を開発したいと考えているかがわかる。
この日、HPはほかに2つの消費者向けプロジェクトを披露した。同社は何年も前から、電子書籍や両眼の間にデジタルカメラを内蔵するサングラスの開発を進めてきている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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