Garrick Barrはコンピュータマニアで、大学時代にはバスケットボールの選手だった。そんなBarrはいま、あるスポーツ関連のテクノロジー企業を起こし、自分が情熱を傾ける2つの対象を1つに融合しようとしている。
Barrが最高経営責任者(CEO)を務めるSynergy Sports Technologyでは、今シーズンに行われるNational Basketball Association(NBA)のすべての試合について、あらゆるプレーのデジタルビデオ映像を編集/記録/整理することを試みている
同社が狙っているのは、バスケットボールチームで采配を振るう人々に向けて、TiVo(デジタルビデオレコーダー)のようなサービスを提供することだ。同社のサービスを利用すれば、各チームのコーチ陣やスカウトは、ノートPCからBarrのウェブサイトにアクセスし、ほんの数秒のうちに探しているプレイのストリーミングビデオを見ることができる。このシステムでは、たとえばLos Angeles Lakersのシューティングガード、Kobe Bryantが狙った3ポイントシュートや、Cleveland Cavaliersのスィングマン、LeBron Jamesがきめたトマホークダンクをすべて探し出す、といったことも可能だ。
プロスポーツの世界では、チームの運営に科学的なアプローチを採り入れるところが増えつつある。膨大な金額が絡むため、勘や根性に頼ることの多い経営陣やコーチらも、他のほぼすべての業界ではすでに取り入れられているある手法を採用し始めている。それは、信頼できるデータをもとに判断を下す、ということだ。
2003年にベストセラーになったMichael Lewisの「Moneyball」には、データ分析によってMajor League Baseball(MLB)がどのように変化しているかが描かれていた。NBAの各チームもその教訓を忘れてはいない。
Broadcast.comの共同創業者で、現在Dallas MavericksのオーナーであるMark Cubanは電子メールによる取材に応え、Synergyの技術には感動しているとしたが、ただしこうしたサービスが登場するまでに「これほど長い時間がかかったことには驚くばかりだ」と述べた。
Synergyは、Barrと、Microsoftの元エンジニアで最初のWindowsストリーミングメディア開発に携わったNils Lahrが2004年8月に設立した企業で、同社がシーズン全体を通じてサービスを提供するのは今年が初めてとなる。Dallas Mavericks、Miami Heat、Boston Celtics、Indiana Pacersの4チームを顧客に抱える同社は、VCの資金やNBAチームからの出資を受けずに事業拡大を目指している。Barrの支援者はほとんどが友人や家族だ。
Synergyのシステムが提供するのは、単なるハイライトシーンの寄せ集めではない。NBAの幹部らは、このシステムが新たなトレンドを生み出す可能性があると述べている。レギュラーシーズン82試合を通じて、コーチが相手チームのオフェンスの短所や自分のチームの選手が放ったジャンプシュートのなかに微妙な違いを感じ取れれば、その1つひとつを得点に結びつけられる可能性がある。
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