IBMは米国時間8日、大幅に手直しを加えたブレードサーバ製品を発表し、今後投入予定のXeon、PowerPC、Cellの各チップを搭載する新製品について説明した。
今回発表された製品のなかで最初に投入されるのは、新しいシャーシを採用した「BladeCenter H」と、PowerPCチップを搭載するハイエンドサーバで、これらはいずれも3月に出荷が開始される。そして、その後にはIntelの低電力版「Xeon」プロセッサとIBMの「Cell」プロセッサをそれぞれ搭載するサーバ製品が発売になる。
IBMは成長著しいブレードサーバ市場で首位に立っており、今回の新製品投入の狙いもこのナンバー1の座を維持し続けることにある。IDCの調査によれば、2005年第3四半期のブレードサーバ市場では、IBMのシェアが42%(売上ベース)だったのに対し、Hewlett-Packardは32%、Dellは9%だったという。
新しいBladeCenter H用シャーシは、高さが15.75インチ(約40センチ)と、従来製品に比べて3.5インチ(約9センチ)高くなっている。しかし、内部のデータ転送能力は従来の10倍にあたる1秒当たり40ギガバイトにまで増加したほか、より高速な「InfiniBand」やEthernetが選択可能となっており、洗練された自己管理機能も搭載されている。さらに、このシャーシには従来と同じく最大14台のブレードサーバを収納することが可能だ。
BladeCenter H用シャーシの価格は3849ドルだが、この値段はブレードサーバ本体を追加するとぐんと跳ね上がる。例えば、デュアルプロセッサのXeon搭載ブレードサーバを7台収納し、それぞれに4GBのメモリを搭載し、さらにバックアップ電源、デュアルEthernetスイッチを備えた場合、価格は5万ドル近くになる。
BladeCenter Hの価格は、表向きには従来のBladeCenterよりも1000ドル高いだけだが、実際の価格差はもっと大きくなるだろう。これは、旧製品の価格を最大で50%割り引くプロモーションが3月31日まで行われるためだ。
IBMはまた、「Cell Broadband Engine」プロセッサを用いたブレードサーバの販売を開始する計画も明らかにしたが、これは同社にとって設計上のアップグレードよりも革新的なことだ。同社によれば、これらのサーバは第3四半期に発売される予定だという。
Cellプロセッサは、IBMと東芝、ソニーの3社が共同で開発したもので、ソニーが今年発売予定の「PlayStation 3」には同チップが搭載されることになっている。Cellプロセッサは、PowerPC 970のプロセッシングコアに、グラフィックスや数値演算用の8個の特殊用途向けエンジンを追加したものである。Cellプロセッサ搭載のブレードサーバにはそれぞれ、このプロセッサが2基積まれており、その高さはローエンドのブレードサーバの2倍となっている。このため、1つのシャーシにはサーバを7台しか収納できない。
IBMのJuhi Jotwani(BladeCenter Solutions、ディレクター)によれば、Cellプロセッサ搭載のブレードサーバがデジタルアニメーションの製作、科学技術計算、医療画像処理といった用途に向いているという。
Cellプロセッサ搭載のブレードサーバは個別契約で販売されることになるため、定価というものは存在しないが、現時点では心臓の悪い人には向いていない。また同サーバでは、Red HatのFedoraに、バルセロナ大学のウェブサイトからダウンロードできるIBMのパッチを適応した特殊なバージョンのLinuxが必要になる上、利用可能なアプリケーションはまだ存在していないとIBMのCell担当シニアマネージャTed Maeurerは説明した。
「このテクノロジーは発展段階のごく初期にあり、われわれは現在、パートナーとの共同作業を始めたばかりだ。ハードウェアを世に送り出すことは、この技術の進歩に必要な条件の1つだ」と同氏は述べ、さらに260社以上の潜在的なパートナーから、機密保持契約の必要な説明を依頼されていると付け加えた。
Powerプロセッサ搭載サーバも刷新
さまざまなメーカーが提供するブレード用シャーシのなかには、多様なブレードサーバを収納できるものも多い。例えば、HPのBladeSystemには、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronチップ、 IntelのXeonチップやItaniumチップを搭載したサーバが収納できる。また、Sun Microsystemsが2006年後半に出荷を予定している第2世代のブレードシステムでは、OpteronやSunのUltraSparcを搭載したサーバが収納可能になる。
IBMの場合、Opteron、Xeon、そして同社のPowerプロセッサファミリのいずれかを選択できる。IBMはPowerプロセッサファンのために、PowerPC 970MPを搭載した「JS21」という新たな選択肢を提供する予定だ。PowerPC 970MPプロセッサは、デュアルプロセッシングエンジンを採用している。なお、現行の「JS20」で用いられるPowerPC 970FXはシングルコアとなっている。
PowerPC 970MPはまた、1つのブレードサーバ上で複数のOSを稼働させることができる新たな仮想化機能を備えている。こういった機能は、コストを削減し、増大する電力消費を抑制するために既存システムを有効利用しようというコンピュータユーザーが増えるなか、大きなトレンドとなっている。
JS21の価格は、基本のシングルコアモデルで2499ドルとなっている。より多くのメモリを搭載したデュアルコアモデルの価格に関しては、IBMからすぐに回答を得ることができなかった。
IBMは、Intelから発売予定の「Sossaman」版Xeonを搭載したブレードサーバも投入する。同チップは、モバイル用プロセッサ「Yonah」(開発コード名)をベースにつくられており、従来のXeonよりも消費電力が格段に少ない。低消費電力版であるHS20は基本価格1749ドルで4月に発売予定となている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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