決断を迫られるP2P企業--生き残りの道を見つけ出せるか

文:John Borland(News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年02月03日 18時56分

 ファイル交換ソフト「eDonkey」を配布するMetaMachineの若きCEO、Sam Yaganは半年前、米連邦議会上院の委員会に出席し、世界で最も高い人気を誇る同社のネットワークは新たなページをめくる準備ができていると語った。

 そして今、YaganとMetaMachineがその公約を果たすべき時が刻一刻と迫っている。

 音楽業界の関係者によると、eDonkeyのメーカーや他のPtoPソフト企業に対しては、レコード会社と最終的な契約を締結し、Yaganが終了すると公約した後も長期に渡って存続してきた無料の音楽/映画交換サービスを停止するよう迫る圧力が徐々に高まっているという。当のYaganは、交渉の詳細な内容の発表は避けたものの、近いうちに最終的な契約を締結したいと語った。

 「正直に言って、すべての物事がもう少し早く進むと予想していた」とYaganは述べ、さらに「まもなく(レコード業界と)合意できることを期待している。何カ月も先の話ではない。それは確実だ」と付け加えた。

 eDonkeyは、まだエンターテインメント企業と正式に和解していないPtoPソフト企業の中では最も規模が大きい。しかし、「LimeWire」や「BearShare」など他の多くのPtoP企業でも、eDonkeyと同じように重大な転機を迎えており、向こう1カ月間にそれらの企業の幹部が下す決断次第では、ファイル交換の世界が様変わりする可能性もある。

 2005年夏には、ファイル交換サービス企業が提供するソフトウェアを使って、ユーザーが映画、音楽、ソフトウェアを違法にダウンロードした場合、それらの企業は責任を問われる可能性があるとの判決が米最高裁で下された。PtoP企業と対峙しているレコード/映画業界の弁護士らはこの判決で勢いづいている。

 全米レコード協会(RIAA)は2005年9月、大手ファイル交換ソフト企業各社に対してサービス停止を求める書簡を送付し、和解に応じ、ビジネスモデルを変更しなければ即座に起訴すると脅した。それを受け、Grokster、WinMX、I2Hubなど数社がサービスを停止した。

 しかし、MetaMachineをはじめとする他の企業では、その後もサービスを継続しながら、業界の承認が得られるビジネスへと変身を遂げる方法を模索してきた。

 だが、解決策はなかなか見つからなかった。

限られた選択肢  そう遠くない将来に多額の費用が必要となる訴訟が起きる可能性が高まるなかで、eDonkeyをはじめとするファイル交換サービス企業の前にはごくわずかな選択肢しか残されていない。可能性として考えられるのは、サービスを停止するか、会社を売り払うか、あるいは既存もしくは計画中のオンライン音楽サービスと合併することだ。また、イスラエルのiMeshのように、不正なファイル交換を排除し、ユーザーから料金を徴収するようなサービスの構築を試みるという手も考えられる。

 eDonkeyは、既存もしくは計画中の合法的なP2Pサービス各社とすでに話し合いを進めてきていると、事情に詳しい情報筋は述べている。iMesh会長のBob Summerは、具体的な交渉に関するコメントを避けたものの、同社ではeDonkeyのような他のファイル交換サービスのユーザーベースを手に入れることに積極的な考えを示している。

 「P2Pのコミュニティには、いまだにサービスを継続しており、かつ買収の標的になりやすい大手企業がいくつもある。iMeshよりも幅広いユーザーを相手にサービスを提供できるという点で、こうした企業を吸収することはiMeshにとっても業界全体にとっても好ましいと考えられる」(Summer)

 Yaganはまた、Audible MagicやSnocapとも話し合いを行ったと述べている。この2つの企業は、iMeshやMashboxxがレコード会社公認のファイル交換サービスを構築することにそれぞれ力を貸したことがある。

 iMeshやMashboxxの幹部らはいずれも、eDonkeyや他のP2P企業は数百万ドル程度の資金を投入しない限り、合法的なファイル交換サービスを構築できる可能性は低いと主張している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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