異なる社風--衝突の可能性は? Disneyを長年取材してきたニューヨーク在住のメディア専門ジャーナリスト、Ken Aulettaは、今回の買収と、Time Warner-America Online(AOL)の合併との類似点を指摘している。同氏によると、DisneyとTime Warnerはいずれも由緒あるメディア企業だが、ともにビジネスのハイテク化でつまずき、新しいメディアに精通した企業に支援を求めることになったという。
合併後のAOL-Time Warnerでは厳しい状況が続いてきているが、これは新旧の世界の間にある潜在的な落とし穴を的確に例証するものといえる。だがAulettaは、DisneyがSteve Jobsと同盟を結ぶことにしたのは好判断だという。
「Jobsには、長年にわたり驚くべきことをやってきた実績がある」とAulettaはいう。「彼は幸運な一発屋ではない。Jobsを味方に付け、新会社に確実に関与させるのは望ましい展開だ」(Auletta)
この買収が成立すれば、世界最大級の企業へと成長した芸術表現の歴史に残るリーダーと、非常に人気の高いヒット作を次々に出しながら、極めて「家庭的な」雰囲気を維持していると元社員が証言するハイテク分野の草分けという、アニメーション業界の対極にあった2つの企業が1つになる。
7年間務めたPixarを2004年に退社し、「Animationmentor.com」というオンラインのアニメーションスクールを設立したBobby Beckは、「(Pixarでの)仕事で素晴らしいのは、ディレクターが全員社内にいることだ。ディレクターと本当の関係を築ける。気軽に話し合えるようになる」と語っている。
ただ、大企業と小規模企業にはそれぞれ異なる社内文化があり、その文化の違いが衝突につながる可能性もある。
実際、一部のPixarファンは、同社がオリジナリティーを失うのではないかとの懸念から、この買収の見通しに対する不安感を示している。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のアニメーション課程で主事を務めるDoug Wardは、「Pixarは非凡な集団だ。われわれが懸念しているのは、だれがトップに立つのかだ。(Pixarは)Disneyという大企業のなかで単なる一事業部となってしまうのだろうか」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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