過去数年間に、IPは多様な状況における通信に適した技術として、その存在感を増してきた。IP技術を使って国際電話をかけている一般企業から電話会社自体まで、多くの企業/組織がIP技術を使った音声通話を利用し始めている。その傾向は一般消費者にも波及しており、彼らは、Vonageなどが提供する、いわゆるVoIPサービスに加入することができる。VoIPは、公共のインターネットを使った通話を可能にする技術だ。
ただし、これらのサービスは従来の電話インフラの一部ではないため、基本的に911サービスはサポートしていない。米連邦通信委員会(FCC)は、通常の電話サービスに取って代わるVoIPサービスを提供する企業に対し、顧客が高度な911サービスを確実に利用できるようにするための技術改良を行うよう命じた。
しかし、各地方の911サービスプロバイダを代表する非営利組織であるNENAによると、これはあくまで一時的な解決策だという。現在NENAは、VoIPと従来の緊急通報システムとの連携を促すFCCの要求に従おうとするVoIPサービスプロバイダを積極的に支援している。しかし同組織は、緊急ネットワークにとってより優れた解決策はIP技術の利用を開始することだ、と指摘する。NENAはすでに、IP技術に基づくネットワークを構築するための新標準や最良事例を作成している。
「将来はIP対応型ネットワークに移行するということで、われわれの見解は一致している」と語るのは、NENAのエグゼクティブディレクター、Robert Martinだ。同氏はさらに次のように続けた。「しかし、われわれが勝手に新しいネットワークを稼動させ、すべての人が(われわれと)同じ見解を持ってくれることを期待するのは不可能だ。今後しばらくは従来のインフラが残存することになるだろう」(Martin)
従来の911ネットワークを次世代型ネットワークに変えるために必要なIP技術はすでに利用可能な状態だ。しかし、そのようなプロジェクトの費用の捻出方法をめぐる政治的な駆け引きや小競り合いにより、ネットワークの大規模な配備には時間がかかりそうだ、と専門家らは指摘する。
Martinは、「このプロジェクトに必要な資金は入手可能であり、今日にでも着手可能だ」と述べた上で、「真の問題は、政治家らがいかにして、その支出を優先させるかだ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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