Hewlett-Packard(HP)、IBM、SunGard Data Systemsなどの企業は、ハリケーン「カトリーナ」で被災したメキシコ湾岸にある多数の企業が、所有するコンピュータシステムを継続して稼動できるよう、対策を進めている。一方で、これらのサービス企業は、顧客企業の多くで、今回の災害への対策が不十分だったと指摘している。
IBMには、ディザスタリカバリ対象顧客が、今回のハリケーン被災地域に約100社存在する。被災企業の数十社は、既に、被災地から遠く離れたコロラド州ボウルダーのIBM施設内にあるバックアップネットワーク/データセンターにシステムを切り替えている。SunGardの顧客の4分の1はディザスタリカバリ計画を実施済みであり、米国中にあるSunGardの施設内に分散オフィスやコンピュータシステムを設置している。
HPのディザスタリカバリ対象顧客の大半は、同社が所有するジョージア州アルファレッタ以外の施設を利用して作業を継続している。また、HPの業務継続計画担当ディレクターのBelinda Wilsonによると、一部の顧客はサーバ、衛星通信施設、発電機、事務用設備などを備えた移動トレーラーの提供を要請しているという。
これらのコンピュータサービス企業は、秘密保持契約を理由に、顧客企業名を挙げることは避けている。しかし、顧客の中には銀行、保険会社、医療関連団体、石油化学企業、メーカー、政府機関などが含まれることを明らかにした。
災害時の計画を綿密に立てていた企業もあるが、その数に比べ、何も計画を立てていない企業の方が多いとWilsonは言う。Wilsonによると、ある大手メーカーは、HPが7月に示したディザスタリカバリ案をこれまで放置してきたのが、今になって慌てているという。「多数の企業が突然助けを求めて集まってきている」とWilsonは述べる。
9月11日の米国同時多発テロ攻撃に始まる国家的な大災害は、ディザスタリカバリ、言い換えれば災害時の事業の継続について、普及を早めたとアナリストは言う。IBMやSunGardが提供するディザスタリカバリサービスは、コンサルティング、遠隔地データバックアップ、データ復旧用プログラム、顧客の社屋まで移動が可能なオフィスなど、ありとあらゆるサービスを提供する。これらはすべて、顧客が停電や洪水、そしてコンピュータへの攻撃といった被害に遭遇した時に、データやアプリケーションの使用を継続できるよう、支援することを目的としている。
2004年にフロリダを襲ったハリケーンと2003年に米国北東部を悩ませた停電が、ディザスタリカバリサービスへの関心を一層高めたと、GartnerのアナリストRoberta Wittyは言う。Gartnerによると、ディザスタリカバリに対する支出は2003年にわずかに減少したが、2004年には32%の伸びを示したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」