Digital Equipment Corp(DEC)の「PDP」シリーズは、かつては世界を席巻していた。そのミニコンピュータは現在、元Microsoftの億万長者Paul Allenのオモチャとしての新しい道を歩んでいる。
Allenは、1960年代にデビューしたPDPシリーズの大ファンで、これらのシステムを集めた歴史的な個人コレクションに加え、ウェブサイトまで立ち上げてしまった。
Allenによると、老朽化した電子機器を将来のために保存しておくのは重要なことだという。同氏はこのサイトの前書きに、IT分野の進化は「矢継ぎ早に起こっており、ソフトウェアやハードウェアは数年で時代遅れになってしまう」と書いている。
そして、「したがって、ここに集められている数10年前のコンピュータやソフトウェアは保存/研究価値の非常に高いものだ。いずれも当時は最先端の革新技術であり、歴史的な重要性も高い」と続けている。
PDP(Programmed Data Processors)が当時最先端の技術革新だったことは確かだ。PDP-1が産声を上げたのは1960年だった。DEC創業者のKen OlsenとHarlan Andersenが設計した同マシンは、世界初のミニコンピュータだった。それはつまり、そのサイズが平均的な部屋よりも小さいことを意味していた。
AllenとBill GatesがDECのシステムを使ってMicrosoft初の製品であるBasicコンパイラを開発するころには、PDPはシリーズ11にまで進化し、高速かつ高性能のVAXもその出番を待っていた。
利用経験のある人々は、いまだにPDPシステムに対して感傷的になる傾向がある。同システムはIT業界に大きく貢献し、ヒト遺伝子のトラッキングからガン治療法の発見への取り組みといった各種科学研究を中心に、防衛コンピュータの組み込みシステムからエアコン、電話交換機までさまざまな用途に利用された。
DECは、はるか昔になくなってしまった。Compaqに買収され、そのCompaqもHewlett-Packard(HP)に買収されてしまった。しかしその名前は、PDPから技術を学び始めたとする、驚くほど多くのIT業界関係者の記憶に今も残っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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