UIEngineが生み出す新しい家電のコンテンツサービス - (page 2)

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:加藤さこ
2006年01月05日 18時31分

--UIEngine開発の経緯は。

  ブラウザでウェブアプリケーションを動かすのは限度があるという考えに行き着きました。もともとHTMLは、スタティックなウェブページを記述するための言語ですね。それにダイナミックHTMLやJavaScriptの機能を付け加えてインタラクティブになりましたが、根本の設計が違う。リッチなユーザーインターフェースを持つウェブアプリケーションを実現するにはどんな技術が必要かと考え、HTMLとJavaScriptのエッセンスの部分だけを抽出して作ったのがUIEngineです。

--UIEngineは、Java、Flashとどう違うのでしょう。

  基本的には似ています。違う点は、エッセンスの部分を抜き出しているところです。リッチなユーザーインターフェースを持つウェブアプリケーションを実現するという意味では同じですが、これらの技術はいろんな機能を含んでいるのでかなりソフトウェアのサイズが大きくなります。

 しかしエッセンスだけを考えれば、線を引く・文字を書くという基本的な機能と、サーバと非同期で通信する機能、ユーザーのアクションに応じて状態遷移をクライアント側で起こす機能の3つがあればいい。これだけを抽出すると、実は、ものすごく小さいソフトでできるんです。実験的に作ってみたら30Kバイトに収まって、NTTドコモの携帯電話でも動くことがわかりました。これがUIEngineです。

 今までのミドルウェアと比べると、本当に、すごく小さいんですよ。エンジンが30Kバイトでできると、(残りのメモリ容量をさまざまな機能に振り向けられるので)アプリケーションがリッチになります。また、携帯電話にプリインストールしなくても、ユーザーにダウンロードしてもらえばいい。

 もちろん、Flashだからできるベクターグラフィックの凄さはありますが、携帯電話の場合、非同期の通信機能がないFlash Liteしか使えない。リッチユーザーインターフェースを持つウェブクライアントを実現するという意味では、Flash LiteよりUIEngineのほうが優れている。この「30Kバイトの技術を持っている会社」がUIEvolutionなんです。

--米国ではどのような事業展開をしていますか。

  最初はUIEngineを携帯電話に搭載するように働きかけることも考えたのですが、ビジネスとしてやるには大変です。携帯電話は開発期間が長く、通信事業者の審査も厳しい。

 そこで2002年にコンテンツを作る人にアプローチするように方向を転換して、米国でDisneyに話を持ちかけました。彼らは当時、モバイル用のアプリケーションを作るのに苦労していたんです。Javaアプリを開発していたのですが、サイズが100Kバイトを超えてしまって携帯電話に搭載できなかった。そこで、うちはUIEngineを使って30Kバイト程度でプロトタイプを作って提供したんです。そこからDisneyとの関係が続いています。現在もDisneyとは技術面で提携していて、アプリケーションの開発を共同で手がけています。

--UIEngineのライバルとなる技術は。

  ブラウザやJavaが競合するといえるでしょう。でも、UIEngineはブラウザのプラグインとして動くので、戦うといいながらも共存できるわけです。よく「Javaと戦うんですか」と聞かれますが、UIEngineはJavaの上でも動くんです。我々は、戦いは一切、避けています(笑)。OSがあれば何でも、いや、実はOSがなくても端末上で動くんですよ。ほかには、Flashがかなり競合するところがあります。

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