2006年が始まるからといって冒頭から世の中全ての動きが新しくなる訳ではない。当然、2005年からの動きを引きずることになる。というところで、GoogleとMicrosoft、そして大躍進を遂げたAppleを軸にして2006年の注目点をまとめてみたい。
「メディアの再編」の一部でもあるAOLとの提携についてはGoogleがひとまずMicrosoftより優位に事を進めたことになっているが、「ある意味では、Microsoftはまだ競争を始めてすらいないと言える」とあるように、決着もしくは均衡にたどり着くまではもうしばらくかかる。先のNetscapeとのブラウザ市場を争っての動きと異なり、複数の市場に絡んでの競争となるために、リーグ戦のゲームを観戦するかのように複雑な試合展開になるのではなかろうか。
Googleの手札は矢継ぎ早に繰り出されるサービス群とラボに控えている二軍のベータサービスだ。二軍といっても、ちょっとしたベンチャーの主力サービスになるくらいのラインがごろごろしているのが他の企業とは一味違うところだ。
Microsoftは見やすいところでWindows VistaとWindows Live。MSNとAdCenterもニュースを賑わすことになるだろうが、本質はデスクトップのユーザー領域をいかに押さえていくのかになる。デスクトップ検索やリリース予定のIE7など「ブラウザの枠を越えた競争」はすでに始まっている。
また、ビル・ゲイツの宣言により始まった「ソフトウェアのサービス化」の波はBeyondVCの著者であるベンチャーキャピタリストEd Simをして「don't forget the enterprise」と語らせているようにアプリケーション業界に波及する。ライセンス販売からサブスクリプション課金への転換、ローカルアプリケーションがWebサービスに対応し始めて外部のサービスを取り込みにかかっていることなど「ウェブとエンタープライズの垣根」は一度引きなおされることになる。
垣根が引きなおされるといえば、iPodと携帯をトリガーに始まった「マルチデバイスとマルチネットワーク」の実現にも注目したい。動きが本格化するのはWiMaxとその対応チップの普及が始まる2008年が有力だが、先を打った動きを各社出していくことになるだろう。並行して、長年言われ続けてきたIPv6もようやく陽の目を見て本格商用化の可能性が高い。「放送と通信の融合」も資本レベルでの動きをともなってきたことからインフラからデバイスまで、コンテンツ流通の新しい形が予想される。
2005年後半にテクノロジーメディアやブログを騒がせたWeb2.0の議論も2005年末から落ち着く様子を見せ始めた。特にSunのCTOであるHal Sternによる「read-write web」との端的なまとめは美しい。次のブームを探すのか、それとも、次のブームという発想自体が間違っているのか。業界のアジェンダ設定も含めて今年も1つ1つなるべく手にとって解題していきたい。
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