米国主導のアフガニスタン駐留軍が、トラボラやホワイトマウンテンズの岩山からアルカイダを排除するのに要した時間はわずか数カ月間だった。
そのおよそ4年後に行われた、インターネット上に存在するイスラム原理主義者の闇のネットワークの捜査は、米国とその同盟国が総力を結集して行ったにも関わらず、大幅に手間取った。英国政府は2005年7月、テロリズムを扇動するウェブサイトの運営者を取り締まる計画を発表したが、今のところ目に見える成果は上がっていない。
Terrorism Research CenterのアナリストRebecca Givner-Forbesは、「アルカイダにとっては、いかなる物的資産やメンバーの存続よりも、イデオロギーの存続の方がはるかに重要だ。インターネットはそのイデオロギーを確実に伝播させるための一つの手段だ」と語る。Terrorism Research Centerは連邦政府に調査サービスを提供している。
アルカイダが発見を免れるためにオンライン上で使用している手法は、オフラインで使用している手法を真似たものだ。具体的には、同じインターネットサイトを継続的に利用するのではなく常に使用するサイトを変え、プロパガンダが掲載可能なウェブサーバの敵対的乗っ取りを行うというものだ。2004年に、米アーカンソー州の高速道路管理事務所が運営するサーバが乗っ取られ、そこからOsama bin Ladenの映像など、70個のファイルが配布された。
複数のテロリズム専門アナリストによると、アルカイダは過去数年間、メンバーの新規募集、訓練/教育、宣伝のための新たなツールとしてインターネットを利用してきたという。最近、アルカイダのウェブベースの宣伝部門と思われるグループが、週1回組織の現況を伝えるウェブ放送を開始した。報道によると、そのグループは、同放送に協力する新メンバーをオンライン上で募集しているという。つまり、同グループは将来、さらに多くのコンテンツを配布するために、より多くの乗っ取られたコンピュータを見つける必要に迫られることを意味する。
しかし、広範囲に拡大した天敵が次第に顕在化しつつある現在の状況に対し、米国政府が今後どのような対応策を打ち出すのかは依然として不透明だ。
連邦政府の国家テロ対策センター(National Counterterrorism Center:NCTC)のある職員は匿名を条件に次のように述べた。「これらのウェブサイトが他にも数多く存在するのは明らかであり、米国の諜報機関もこの問題に関心を持っている。それらのサイトはすでに急増している・・・アルカイダはこれらのサイトの開設という観点からプロパガンダの価値を評価している」
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」