ネットユーザーの半数以上が、フィッシング詐欺やスパイウェアなどの拡大を受けてネットの利用方法を変えている――。シマンテックが12月13日に発表した「インターネット詐欺に関する調査」の結果から、フィッシング詐欺といった脅威から自分の身を守ろうとするユーザーの実態が明らかになっている。
インターネット詐欺に関する調査は、2004年9月、2005年1月に続いて、ネットを介した個人情報流出、フィッシング詐欺、スパイウェアの認識などを調査したもの。インフォプラントが、シマンテックからの依頼を受けてネット利用歴3年以上の男女1000人を対象に調べた。
「ネット詐欺はセキュリティソフトで守りきれない」田上利博氏 |
その調査結果によれば、ユーザーの84.7%が「国内のオンラインショッピング、予約サービス」を使っており、66.9%が「ネットバンキング、オンライン株取引」をしている。ネットを利用する時の不安として、37.0%が「コンピュータウイルス」を選択する一方で、「スパイウェア」と答えたのは13.0%、「フィッシングメール」と答えたのは9.0%にとどまり、ユーザーの危機意識が全体的にそれほど高くないことがわかる。
詐欺目的のサイトにアクセスしたことがあるかどうかについては、12.6%のユーザーが「ある」と答え、2004年9月の調査時の6.7%から倍増していることになる。詐欺目的サイトに実際にアクセスしたというユーザーの事例を見ると、明らかにフィッシング詐欺に類するものがあった。また詐欺目的のサイトにアクセスしたことで、実際の金銭的被害を受けたユーザーも存在。その中には、被害金額が100万円というユーザーもいる。
また、34.3%のユーザーがスパイウェアを認識。2004年9月(24.9%)と2005年1月(28.6%)よりスパイウェアの認知率が向上していることが分かる。ただ、19.2%が「PC内のファイルを壊す」、14.0%が「PCのハードウェアを物理的に破壊することもある」、8.0%が「自分のPC内にあれば、誰でも容易に発見できるものである」と誤ったスパイウェアの認識をしている。
フィッシング詐欺やスパイウェアなどの拡大を受けて、ネット利用で変化があったかという問いに対しては、7.2%が「確かに変わった」、49.8%が「多少は変わった」としている。あわせて57%のユーザーが、拡大する脅威の影響を受けて、ネット利用の仕方を変えていることになる。
どのように変わったかという問いに対しては、「安全だと確信できるサイトでしか買い物しなくなった」が70.2%、「対策ソフトなどを導入/追加した」が41.4%、「パスワードを定期的に変更する」が20.9%となっている。これらは前回調査よりもそれぞれ数パーセントずつ上がっており、インフォプラントでは「セキュリティのレベルが上がっていることが伺える」としている。
シマンテックのコンシューマ・マーケティング部のプロダクトコミュニケーションマネージャの田上利博氏は、「ネットの脅威は進化しており、現在の悪意あるソフトウェアは複数の攻撃経路を利用して侵入してくる。また、かつてのウイルスやワームなどの場合は、仮に侵入されてもPCの基本ソフトを再インストールすれば対応できた。しかし、現在の個人情報流出やフィッシング詐欺の場合、後から対処することができない。事前に対応することが求められている」として、ネット上の脅威に対する姿勢が、従来とは変化しつつあることを明らかにした。
田上氏は、インターネットの詐欺から身を守るための主な心構えを以下のように説明している。
拡大するフィッシング詐欺について田上氏は、「セキュリティソフトでは完全に守ることができない。というのは、ソーシャルエンジニアリング的な部分に長けているからだ。被害に遭わないための心構えを持つようにする必要がある」と説明している。
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