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近そうで遠い「通信と放送の融合」の夜明け

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 楽天が東京放送(TBS)の株式を大量取得して共同持ち株会社の設立と事業統合を提案した問題は、結局、資本・業務提携に関する協議を開始するというレベルへとトーンダウンすることになった。この落としどころは、ニッポン放送・フジテレビとライブドアのそれに非常に近い。この2つのケースから、放送と通信の融合サービスを既存のプレイヤーが現行事業の単純加算によって実現することは困難という印象が強まってきた。それはなぜなのか。

ライブドアにできないことは、楽天でも無理

 10月初旬より物議を醸し出していたTBSと楽天は11月30日午前、それぞれ取締役会、臨時株主総会を開いて資本・業務提携に関する協議を開始することを決定し、午後には合意書に署名した。その内容は、TBSと楽天は資本・業務提携の形態を模索し、同時に楽天は提案した「共同持株会社による経営統合」を取り下げ、保有するTBS株式を外部に信託するというもので、当初楽天が示した内容とは大幅に異なるものとなった(関連記事) 。

 なんだかどこかで聞いたことのあるようなオチだなぁ、と思われた方も多かったに違いない。そう、ニッポン放送の株式取得によるフジテレビとライブドアの騒動と、多くの点で共通点を持つ結末だからだ。もちろん、買収を仕掛けたライブドアと楽天の両当事者の立場からは、これはきっかけでしかなく、結論ではないという主張がなされるだろう。しかしながら、AOLによるTime Warner買収のようなエポックメイキングな出来事にならなかったという点では、これらのネット系企業による試みは水泡に帰したといっていいのではないか。

 その根本的な原因として、実質的な株式公開買い付け(TOB)という心情的な反発を除いても、テレビ局側にとってはネット系企業の持つ事業モデルやアセット(資産)が必ずしも魅力的に映らなかったということがあるだろう。それは、現状の楽天やライブドアのアセットがテレビ局のそれとあまりに隔たりがあるために魅力的には見えなかったということもいえるだろうし、更にはネットと放送との組み合わせによって現状の何倍にも魅力が高まるという相互補完、あるいは一種の化学反応が起こせるとはとても思えなかったということに違いない。

 その点では、ライブドアであろうと、楽天であろうと、テレビ局側からしてみると同じようなものだ。ライブドアが放送通信融合のウルトラCを提案できないのであれば、いかにプロ野球オーナー会議を手玉に取り野球を巡る話題に関しては競り勝った三木谷氏が率いる楽天であろうと、この騒動においては持ち物にそれほどの差がないこともあって、堀江氏と同じような仕打ちを受けざるを得ない。

政府もビジョンに欠ける放送通信融合

 その点では、放送と通信を管轄する政府・総務省とて同じだ。

 総務省では、放送通信の融合について前向きな姿勢を持つ竹中平蔵氏が総務大臣に就任したということもあって、これまで以上に融合というトピックを取り上げていくと聞く。具体的には、

  1. インフラレベルでの融合=光ファイバを用いた地上デジタル放送のIPマルチキャスト配信を2008年までに実現
  2. 新たなハードウェアによる本格的な放送と通信の統合サービスの実現
  • ワンセグ放送(携帯電話端末への地上波デジタル放送受信機能の搭載とその視聴時におけるインタラクティブサービスの提供)
  • サーバー型放送(ハードディスクとインターネット接続機能を備えた放送受信装置の開発とその活用に必要なメタデータの仕様決定と提供)

という2点を前面に出して、デジタル放送とブロードバンドの大国としての日本の更なる優位性を主張しようとしている。とはいえ、これらを客観的に眺めると、どうも放送事業者を半ば中心に据え、得られるメリットが偏った議論になっているという印象を免れない。

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