東京放送(TBS)は10月26日、代表取締役社長の井上弘氏が定例会見を開いた。その中で、楽天によるTBS株式の買い増しについて、「私どもはお互いの信頼醸成のために『買い増しをしないで欲しい』と何度も確認を求めてきたが、明確な約束は得られなかった。こうしたことも予測していたので、冷静に受け止めている」とし、買い増しは威圧的に感じていると言う。
さらに、井上氏は「株に対する考え方の違いもあるが、片方で経営を一緒にやろうといいながら、片方で株を買い増す。そういうものなのかなあと思っている。冗談で、三木谷さんは“北風と太陽”という童話を読まなかったのかなあ」と語った。
楽天は、10月25日現在で子会社を通じてTBSの発行済株式数の19.09%を保有している。10月12日時点では15.46%保有し、その後10月19日時点で17.17%取得、10月21日時点で18.54%取得と段階的に買い増していた(関連記事)。
三木谷氏は株の買い増しについて10月26日に記者会見で、「株は市場性があるものなので、交渉の進捗にかかわらず、どうして買っちゃいけないのか、それが僕には正直に言ってよくわからない」と述べ、「TBSが安定株主化構想をしているとすれば、そういうやり方をしている一方で誰でも買っていい株を買ってはいけませんよというのは相反するようなことだと思う」とした。
TBSは10月26日に買収防衛策の発動の是非などを協議する第三者機関「企業価値評価特別委員会」を開き、1名を除く6名の委員が出席した。事務局から委員に対し、村上ファンドからのMBOの提案があったことや、楽天から共同持ち株会社方式による経営統合の提案があったこと、それについての質問書を送ったことを報告した。この件に関して定例会見では、「委員からの要望で財務的なアドバイザーをつけることを検討することになった。今日の特別委員会は、何かを諮問し、決定するということではないので、何かが決まったということはない」とした。
また、10月17日に検討チームを発足して以来作業を続けており、10月25日に40問の質問を楽天に届けたばかりで、返答はまだ貰っていないという。井上氏は「企業統合は普通アンダーグラウンドで交渉するものだが、今回はいきなりラウドスピーカーで『ヨーイどん』と言われてから検討しており、その辺が通常の作業と違う。50年の企業をどうするかということなので、ここでいい加減な結論を出すわけにはいかない。何が放送局にとってベストなのか。慎重にやって行きたい」と語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」