富士通研究所は11月14日、デジタルカメラやデジタルビデオカメラでも高圧縮映像規格「H.264」を使って撮影ができる回路を開発したと発表した。消費電力が100ミリワット以下と低消費電力な点が特徴だ。2006年末の製品化を目指す。
H.264は携帯電話向けの地上デジタル放送である「ワンセグ」や次世代DVDで採用されることが決まっている映像圧縮規格で、MPEG-2やMPEG-4よりも圧縮効率が高い点が特徴だ。ただし、処理方法が複雑なことからMPEG-2の10倍程度の処理量が必要とされ、消費電力が課題となっていた。
富士通研では圧縮時に最も処理量が多くなる、映像の動きの変化を抽出する部分の処理を減らすことで消費電力を抑えた。他社の技術に比べ、数分の1の消費電力ですむという。同時に、見る人が画質の劣化を最も感じやすい人間の顔やゆっくり動く物体などを抽出して、その部分だけはあまり映像を圧縮しないようにして高画質化した。同社によれば、MPEG-2に比べて3分の1のデータ量で同等の画質が表現できるという。この回路は映像の圧縮、復元のどちらでも利用できる。
今後はデジタルカメラなどの家電向けASIC(特定用途のIC)やASSP(汎用LSI)向けのコア回路として製品化をすすめる。2006年末には1チップとして販売する考えで、「2007年中ごろにはこのチップを搭載した家電製品が市場に出てくるのではないか」(富士通研)としている。
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