吉本興業、米ゴールドマン・サックスがイー・アクセスの子会社で携帯電話事業を行うイー・モバイルに出資することが11月10日、明らかになった。イー・モバイルはこのほかにも数社に出資を呼びかけており、すでに出資している東京放送(TBS)などからの資金もあわせて2006年3月末までに約1000億円を調達する。
吉本興業は携帯電話を使ったコンテンツサービスを強化するため、イー・モバイルに出資する模様だ。ゴールドマンサックスは250億円程度を出資するとみられている(関連記事)。吉本興業の出資額は明らかになっていないが、イー・アクセス代表取締役副社長兼CFOのエリック・ガン氏は「吉本興業、ゴールドマン・サックスとそのほかに声を掛けている数社をあわせて330億円程度になる予定だ」と話す。
すでにイー・モバイルはイー・アクセスから450億円、TBSから100億円の出資を受けている(関連記事)。2006年初頭にも数社から資金を調達する考えで、これにより携帯電話のインフラ構築に向けて財務基盤を確立する。なお、全国のインフラ整備に必要な投資額は約3000億円と見積もっており、増資のほか借入金やリースでまかなうとしている。
「ADSLと同じように、携帯電話も競争によって世界ナンバーワンにしていく」と千本氏は意気込む |
イー・モバイルは10日、総務省から携帯電話事業の認定書を取得している。2006年初頭より基地局を設置し、2007年3月15日からサービスを始める計画だ。当初はPCカードを使ったデータサービスを関東・東海・近畿地域で提供し、2008年3月末までに人口カバー率を50%以上とする。音声端末による通話サービスも2008年2月ごろに開始する予定だ。
2012年3月末までに505万契約の獲得を目標とする。個人ユーザーが主な対象で、HSDPAと呼ばれる下り最大14.4Mbpsの高速通信技術を使ったサービスを武器に市場を開拓する。「携帯電話市場は飽和していると言われるが、人口普及率は70%程度だ。世界には普及率が100%以上の国がいくつもあり、1人で携帯電話を複数台持っている人も多い」とイー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は話し、2台目端末としての需要に期待を寄せた。
具体的なサービスの内容や価格については明らかにしていないが、同社のADSLサービスや他社の無線LANサービスと組み合わせたデータサービスを提供する計画があるという。また、海外とのローミングにも力を入れる考えだ。「海外の人が日本に来てまず文句を言うのが、自分のBlackBerry(Research In Motionが開発したキーボード付きの携帯電話端末)が日本で使えないという点だ。日本は携帯電話先進国というが、こういった点を見れば世界でも遅れていることがわかる。このような状況をなくしていく」(千本氏)
イー・モバイルでは早期に全国でサービスを展開するために、既存事業者との回線ローミングを希望していた。この交渉状況について、イー・アクセス代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏は「NTTドコモからは『免許を取得してから話をする』と言われている。これから具体的な話し合いに入るだろう」とした。
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