1人の子供を育てるには、1つの村が必要だ、とはクリントン元大統領夫人のHillary Rodham Clinton上院議員の口癖だ。しかし、Googleという小さな子供の夢、すなわち、いつか世界中の全ての情報をインデックス化するという夢を実現するには、村1つではとても足りないだろう。
検索大手のGoogleが人員の採用を積極的に進めている。直近の四半期(9月30日締め)に800人もの人材を採用したGoogleでは、全世界における従業員数が4989人にまで増加している。この数字は、わずか2年前の社員総数と比べ、3倍以上に当たる。
「ITバブル以降、社員数を大幅に増やしたハイテク企業は他に例がない」と語るのは、人材スカウト会社Christian & TimbersのバイスチェアマンUmesh Ramakrishnanだ。
それでも、Googleでは、従業員数の増加に歩調を合わせるように売上も順調に伸びている。そのため、Googleが、かつてのドットコム企業のように、無責任に人材を採用していると簡単に決め付けることはできないだろう。Googleの第3四半期の売上は、前年同期からほぼ倍増の15億8000万ドルで、純利益は3億8120万ドルだった。
Googleのウェブサイト上に掲載されている求人広告によると、現在同社では、全世界で少なくとも1000の役職が空席状態である。同社の正確な求人数を算出するのは難しい。Googleでは、広告販売から人事に至るまで、ほぼ全ての部門で人材を募集しているが、その大部分を占めるのは同社の幹部が最も大切にしているエンジニアリング部門からの求人だ。
「(Googleは)人材募集などする必要はない。同社の人気は絶大だ」と語るのは、「The Google Legacy: How Google's Internet Search is Transforming Application Software」の著者であるStephen Arnoldだ。「最近、フランスのニームで基調講演をした際、私の後にGoogleの関係者が講演した。その時、私の目の前で、3人の人が壇上の彼のそばに歩み寄り、『どうしたらGoogleに雇ってもらえるか』と尋ねていた」(Arnold)
無論、これまでもGoogleの採用が世間の注目を集めたケースは何度もあった。同社は、とかく話題にのぼるコンピュータ科学者Kai-Fu Leeを採用した。GoogleがMicrosoftから強引にLeeを引き抜いたため、MicrosoftがGoogleを提訴する事態に発展した。またGoogleは、インターネット界の草分け的存在で、TCP/IPの共同設計者であるVint Cerfも採用した。同氏はGoogleに入社する前は、MCIに勤務していた。
Googleは、ハイテク業界の有名人以外にも、多くの人々を採用している。そうなると当然次のような疑問が沸く。すなわち、優れたエンジニアの不足について不満を漏らしている業界の他の企業の立場から見て、(Googleの大量採用は)どのような意味を持つのか。
この点についてChristian & TimbersのRamakrishnanは「3〜4年前であれば、電気通信企業に就職することを希望していたと思われる学生の一部は、今なら、GoogleやミニGoogleへの就職を強く希望するだろう。というのも、彼らは様々な業界が1つにまとまりつつあると考えているからだ」と説明する。
では、Googleは従業員に何を期待しているのか。
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