「MSN Messenger」と「Yahoo Messenger」の間で計画されている相互乗り入れには、欠点が1つあると、専門家が注意を呼びかけている。その欠点とは、この相互乗り入れによってIMワームが大量に発生する可能性があるというものだ。
MicrosoftとYahooは米国時間12日、両社のインスタントメッセージング(IM)サービス間で相互乗り入れを行うことを発表した。両サービスのユーザーは来年半ばまでに、インスタントメッセージ(IM)のやりとり、相手のオンライン状況確認、顔文字の共有、両サービスからの友人登録、そしてPC間での音声通話ができるようになる見通しだ。
しかし、IMのセキュリティ専門家によると、この提携にはデメリットもあるという。メッセージングセキュリティベンダーIMlogicのCTO(最高技術責任者)、Jon Sakodaは、「MicrosoftやYahooなどの各社がそれぞれのグローバルIMネットワークを接続すると、IMワームの感染が早まり、攻撃を受けるエンドユーザーも増える」と語っている。
IMサービスのユーザーは、かつてないほど多くのワームや悪質なコードの攻撃を受けるようになっている。先ごろ公表されたIMlogicのレポートによると、2005年第3四半期にIMやピアツーピア(PtoP)ネットワークで検知されたワーム類の数は、昨年同期比で3295%増加しているという。同社は、IM経由で感染するワーム類から企業を守る製品を販売しており、Akonix Systemsなどの企業と競合している。
Akonixの広報担当Don Montgomeryも、「接続後のネットワークでは、ワームの感染範囲が一段と拡大し、その数も大幅に急増する。ネットワークの範囲と利用者が一気に拡大するため、セキュリティの必要性が高まる」との考えを述べた。
この提携は、YahooのIM利用者にプレッシャーをかけることになるかもしれない。MicrosoftのネットワークはIMワームにとって最も人気の高いターゲットで、IMlogicによると、今年第3四半期に発生した攻撃の62%がMSN MessengerあるいはWindows Messengerを狙ったものだったという。一方、Yahoo Messengerを狙ったIMワームは同時期にわずか7%だった。
「これまでMSNをターゲットにしてきたワームがYahooユーザーも狙うようになる」(Sakoda)
調査会社Nielsen/NetRatingsによると、米国では、9月に5150万人のユーザーを達成したAmerica Onlineの「AOL Instant Messenger」がIM市場を独占しているという。これに対し、MSNとYahooのユーザーは、それぞれ2730万人および2190万人となっている。
Yahooの広報担当Terrell Karlstenによると、YahooとMicrosoftにとっては安全なIMサービスの提供が最優先事項だという。
「この優先事項は、両コミュニティの相互乗り入れにも確実に当てはまる。両社が今後も革新を進め、両社のベストプラクティスを持ち寄って必ずIMの安全を確保する」(Karlsten)
Karlstenは両社のセキュリティ対策の詳細を明らかにしなかった。Microsoftにコメントを求めたがすぐには回答を得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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