次世代DVDの規格争いが加熱するなか、ある映画会社がついに結束を乱し、HD DVDとBlu-ray Discの両方を支持すると発表した。そこで、他の映画会社がこれに追従するかどうかという点に、現在業界関係者の注目が集まっている。
Paramount Picturesは米国時間2日夜、2つの高品位(HD)DVDフォーマットをめぐる戦いに巻き込まれるリスクを回避すべく、自社作品を両方のフォーマットでリリースすることになったと語った。
同社はこれまで、Warner BrothersやUniversal Picturesとともに、自社のタイトルをHD DVDフォーマットでしかリリースしないと述べていた。同社は、競合するBlu-rayフォーマットでも不特定多数の作品をリリースすることに同意したことで、両フォーマットをサポートする初めての映画会社となった。Blu-rayには、Twentieth Century Fox、Sony Pictures、Disneyが支持を表明している。
同社のThomas Lesinski(ホームエンターテイメント事業部プレジデント)は声明を出し、「われわれは、Blu-rayの広範なサポートに関心を持った。かなり詳細に評価を行い、コスト、製造のしやすさ、そしてコピー対策ソリューションに関する新しいデータを検討した結果、Blu-rayフォーマットにも対応するとの結論に達した」と述べた。
先週行われたMicrosoftとIntelによるHD DVDサポートの発表にやや失速はしたものの、Blu-rayはかなり勢いに乗っており、UniversalやWarnerからも同様の歩み寄りがあるのではと、業界関係者の多くが注目している。この問題について両映画会社の幹部からコメントを得ることはできなかった。
Paramountの動きがあっても、フォーマット戦争は休戦とはほど遠く、過去のベータマックス対VHSの苦い戦いが繰り返される可能性がある。だが今回の発表は、どちらか一方の選択を余儀なくされる結果を懸念する消費者にとっては喜ばしい徴候だ。
両フォーマットは来年本格的に立ち上げられる見通しだが、すぐ陳腐化するかもしれない技術への投資リスクを望まない消費者やレンタルビデオ店オーナーは、2つの別のフォーマットが出る公算が高いことに懸念を隠していない。
この分裂は、現在人気のDVDフォーマットの後継を目指して2つの別の技術構想が立ち上がり、両者がほぼ同時に熟成された結果として発生した。
東芝率いるHD DVD陣営は、既存のDVDフォーマットに近く、同じ製造技術を一部に流用できるため、こちらのフォーマットのほうが製造が容易かつ低コストだと公言している。同フォーマットは、15Gバイトの一層版と30Gバイトの二層版があり、45Gバイト版も計画されている。
それに対し、ソニーが支持するBlu-rayは、古いDVDフォーマットを大幅に改訂する形になり、25Gバイトと50Gバイトの両バージョンがある。両陣営とも、古いDVDプレイヤーでも映画を再生できるよう、片面を高品位ディスク、もう片面を従来のDVDにする「ハイブリッドディスク」の提供を表明している。
休戦の見込みなし
いずれの陣営も、ほぼ全員が分裂は望ましくないと考えている。アナリストも、フォーマット戦争は消費者を遠ざけ、ベータマックスの時のようにDVDの買い控えを引き起こし、高価な新しい機械がすぐ陳腐化するような結果を生む、と繰り返している。
実際、調査会社のSanford C. Bernsteinは先ごろ、予定を2年延ばして妥協案を用意することなくフォーマット戦争に突入すれば、メディア関連企業は7年間で最大160億ドルを失う可能性がある、との予測を示した。
今年には、両陣営の幹部が2つのフォーマットの統合を模索したいと公言し、一時は休戦の望みも出てきた。しかし、両陣営は今のところ同意に至れずにいる。
数週間にわたって両陣営がいがみ合い、態度を硬化させるなかで、Paramountの発表は妥協に向けた一筋の光となっている。
先週には、MicrosoftとIntelがHD DVD陣営に加わった。東芝のフォーマットのほうが当初の機能が多く、動画のコピー対策に関して自分たちの描くビジョンに適しているのだという。
DellやHewlett-Packard(HP)を含むBlu-ray支持者は、コピー保護対策機能は同等であり、MicrosoftとIntelは「コンピュータ業界の大半」と歩調を乱しているとし、両社の主張に即座に反論している。
HD DVD陣営を率いる東芝は、今週日本で開かれている「CEATAC Japan」でこの技術を披露しているが、同社はParamountの発表を退ける次のようなコメントを述べていた。
「映画業界の各社が、家電とITの両業界で今後起こることを正確に知りたいと考えており、さらにどの会社も、自社の製品が売れそうな市場をすべてサポートするだろう・・・どちらのフォーマットがHDのメリットをきちんと提供できるかがわかるまでに、それほど時間はかからない」と同社は声明のなかで述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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