今回の実験は、雑誌と読者の協力がより完成されたジャーナリズムを生み出せることを示す好例だと、Walesは考えている。
「何に関するものであれ、実際の記事とうまく連動していけたらおもしろいことになるだろう。例えば『TIME』誌などが選挙中に記事を執筆して、その編集に人々が関われるようにすれば楽しいのだが」(Wales)
Walesはしかし、報道機関は自分たちの仕事にどのような人々の関与を許すのか、慎重に検討する必要があるとくぎを刺す。
Walesは、読者に共同で社説を編集してもらうという、Los Angeles Timesが先ごろ試みた「Wikitorial」に言及した。
「あれはまさしく、大失敗というほかない試みだった。Los Angeles Timesはしっかりしたコミュニティを形成していなかったので、有象無象の輩が乱入してきてしまったのである。結局は蛮行が横行して、この取り組みは中止に追い込まれた」(Wales)
Jacobsの原稿修正に参加したWikipediaユーザーの1人、Kelly Martinは、以前あるテレビ局がWikipediaコミュニティとともに記事を編集しようとしたことがあったが、今回の実験はこれよりはるかにうまくいったと話している。
「(テレビ局の実験では)方向性と方針が非常に曖昧で、結果も混乱したものになってしまった。一方Esquireの実験は、成功だったと言える。今回はコミュニティも目的を意識しており、記事に不適切な編集が加えられていないかを判断するための材料が豊富にあった」(Martin)
もっとも、WalesはJacobsの取り組みを評価してはいるが、同様のプロジェクトを今後も支持していくかどうかについては決めかねているという。最終的にはWikipediaコミュニティの反応を見て結論を出すと、Jacobsは述べている。
「Wikipediaを世に広めるのに、こうした方法を推奨してよいものかどうかわからない。よい方法なのかもしれないとは思っている。実際に実験はうまくいったし、コミュニティもこれを楽しみ、刺激を受けたわけだから」(Jacobs)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」