日立製作所と東芝9月9日、システムLSIの製造受託会社(ファウンダリ)を電機大手が共同で設立することで交渉しているという一部報道に対し、「具体的なことは何も決まっていない」とコメントした。
日立では「半導体業界全体として現状に危機感を持っており、各社が共同でファウンダリを設立するという話はかなり以前からある。しかし、新会社の設立に関して、具体的な時期や参加企業、出資比率、製造項目などは決まっていない」と話す。また、日立グループでシステムLSI事業を担当するルネサステクノロジでは、「具体的な交渉の話はない」と否定した。
半導体業界ではIntel、Samsung Electronicsなどの海外勢に対抗するため、各社が共同でファウンダリを建設するという案が何度も浮上してきた。しかし、デジタル家電の好況などもあり、各社の動きは半導体部門の分社や合弁会社設立にとどまっていた。
報道で参加企業の1つとして名前が挙げられたNECエレクトロニクスでは「具体的な協議に入った事実はない。NECエレクトロニクスは2004年12月に山形に半導体の工場棟を建設したばかりで、300mmウエハを月産2万枚製造できる能力を持つ。報道では2007年にも新会社の工場が稼働するとあるが、自社で十分な製造能力を持っている」としている。
ファウンダリを共同で設立した場合、各社は設備投資を抑えられるというメリットがある。しかしシステムLSIは特に家電において差別化の要因となることから、松下電器産業では「ブラックボックスにしているノウハウが流出する恐れがある」と難色を示している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」