米MontaVista Softwareは9月6日(現地時間)、組み込みLinux OSの新版である「MontaVista Linux Professional Edition 4.0(Pro 4.0)」を発表した。応答速度を向上させ、カーナビゲーションシステムなど従来の組み込みLinuxでは対応できなかった領域への進出を狙う。
Pro 4.0はLinuxカーネルの最新版である2.6を採用した。リアルタイム性能を強化し、遅延速度を従来の10分の1の100μ秒程度に抑えた。チューニングすれば20〜30μ秒程度にもできるといい、既存のリアルタイムOSに匹敵する性能になるとモンタビスタソフトウェアジャパン営業技術部 部長の木村好徳氏は話す。また、新たにUSB2.0やIPsec for IPv4/IPv6に対応した。
Linuxはこれまでサーバなどのエンタープライズ分野で採用されることが多かったが、最近では少しずつ組み込み機器の分野にも進出している。例えばNTTドコモのFOMA 90xシリーズや70xシリーズでは、NECとパナソニック モバイルコミュニケーションズがOSにLinuxを採用している。また、ドコモはMontaVistaに300万ドルを出資している(関連記事)。
経済産業省の調査によれば、国内では約16%の企業が製品にLinuxを搭載しているという。モンタビスタの代表取締役社長である有馬仁志氏によれば、MontaVista Linuxは日本における組み込みLinuxの分野で、約65%のシェアを持つという。
リアルタイム性能を向上させたことで、モンタビスタでは今後新たな分野にも組み込みLinuxの採用を促していく。具体的にはカーナビのほか、医療機器や業務用の映像機器など、高い応答速度が求められる分野に進出したいと有馬氏は話す。
また、モンタビスタでは7月からMontaVista Linuxの料金体系を変更したことを明らかにした。従来はMontaVista Linux製品とサポートを合わせて年間契約としていたが、今後は製品とサポートを分けて製品は売り切り型にし、サポートのみ年間契約とする。なお、旧料金体系では新しいバージョンの製品が出た場合、顧客は無料でアップグレードできたが、新体系では新バージョンを利用したい顧客は新たに製品を購入する必要がある。
サポートは標準サポートから、コンサルタントが機器ベンダーの開発プロジェクトに参加する専任エンジニアリングまでの5段階に分け、顧客がニーズに応じて選べるようにする。特に携帯電話関連の企業で開発工程の管理やコンサルティングなど高いレベルのサポートを求める声が多かったといい、今回の変更は顧客の要望に応じたものとのことだ。
価格はライセンス数にもよるが、製品のみの場合200万円台から。製品に専任エンジニアリングまでのすべてのサポートを加えた場合は4000万円程度となる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス