専門家の話によると、ニューオーリンズの浸水は当面続き、メキシコ湾岸に位置する石油施設の復旧に至っては数年かかる見込みだという。
カリフォルニア大学バークレー校の土木工学部教授で、石油・ガス業界に30年以上勤務した経験をもつBob Beaは、ニューオーリンズが海抜ゼロ以下に位置するという事実を考えると、ハリケーン「カトリーナ」の浸水被害は相当大きく、復旧作業は非常に困難なものになると語った。
同氏はまた、堤防システムやそのほかの安全対策の不備により、被害の規模が拡大したと付け加えた。
「汚水を最後の一滴までくみ出さなければならない。それには数カ月を要する可能性がある」とBeaは電話インタビューで語った。さらに悪いことに、電力の緊急バックアップシステムが機能するかどうかがまだ分かっていない。もし、これが機能しなければ修復作業はさらに難航する。汚水除去を開始するために、ポンプを動かす電力を作り出す、新たなシステムが必要になるからだ。
カーネギーメロン大学の都市環境工学部のDave Dzombak教授も、町の復旧には数カ月を要する可能性があることや、人間の不注意が状況を悪化させたという考えに同意した。専門家たちは何年間も、強い暴風雨がこの町の老朽化した防災施設を破壊する可能性があると、その脅威の深刻さを警告し続けてきたが、対策は始まったばかりだった。
「さまざまな対策の計画が進行中ではあったが、予算が不十分だった」とDzombakはいう。「この規模の暴風雨がニューオーリンズを必ず直撃するといわれていた。なのに、その対策がなされなかった」(Dzombak)
湾岸の石油施設やケミカルリファイナリーの復旧はさらに困難を極めるものとなる。そのため、燃料価格が上昇するだろうと専門家は考えている。Beaによると、これらの施設のパイプの一部は海面から2000フィート(約610メートル)ほどの深さに設置されているという。現時点では、これらの施設の運営企業は現場に人を送ることができずにいるため、被害の全体像をつかむことは出来ていないものと思われる。一部施設では、2004年9月に同地域を襲った巨大ハリケーン「アイバン」の被害の復旧作業を進めている最中だった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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