--9月には戦略会議が控えていますが、潜在的なライバルとして、Googleの名前も挙がっているのですか。
Googleは興味深い存在です。将来的には当社のライバルになるかもしれません。ビジュアルフォトの分野では少し競合しているものの、現時点では、Googleの重点分野とわれわれの重点分野はほとんど重なっていません。ローエンドの消費者は当社の標的ではありませんが、Googleは莫大なリソースを活かして、またビジネスモデルの点からも、ユーザーに無料でアプリケーションを提供しています。
Adobeにとって幸運なのは、当社のユーザーがコンテンツを持っており、そのコンテンツを処理・拡張するために、クライアントアプリケーションを必要としていることです。今後、ブロードバンドの高速化がさらに進めば、当社はGoogleよりもはるかに効果的な方法で、顧客にホストベースのアプリケーションを提供できるようになるでしょう。Googleはプロと同じツールを使いたいと考えている一般ユーザーやマニア以外の人々の間では成功を収めると思います。しかし、やるべきことをやっている限り、当社はこれからもGoogleをしのぐ結果を出すことができるでしょう。現時点では、われわれは競合関係にはありません。
--eBooksがニッチ市場を抜け出す日は来るのでしょうか。
来ます。
--われわれが生きているうちに?
もちろんです。常々申し上げているように、問題は書籍とその電子版が同じ価値を提供しうることを顧客に示すことでした。これまでは機器がネックとなっていましたが、ハードウェアメーカーの動きを見る限り、2、3年後には非常に洗練されたeBook端末を199ドル以下で入手できるようになると思います。
--Apple Computerについてお伺いします。あなたは以前、既存のMacアプリケーションをIntelチップを搭載したMac(Mac Tel)用に書き換えることは「容易なことではない」とおっしゃいましたね。
そう、容易ではありません・・・一般的なテストサイクルを考えると、MacTel用アプリケーションの出荷準備が整うまでには3、4カ月はかかるでしょう。スイッチひとつで、MacTel版ができあがるわけではないのです。そのことはSteve(Jobs)も承知しているはずです。
--Mac Tel版のPhotoshopが登場するのはいつ頃になりますか。
具体的な日程はまだ発表していません・・・とにかく、大量の作業をこなす必要があります。
--Windows Vistaの開発は、どこまで進んでいると思いますか。
まだまだでしょうね。
--どんな課題が残っているのでしょうか。
まだ完成していないということだけです。私には、具体的な機能にまで踏み込んで論じることはできませんが、概念上は完成していても、それを形にするとなると、さまざまな問題が出てくるものです。Vistaを2006年中に出荷するためには、(ハードウェアメーカーの)要件を満たすために、夏には出荷を始めなければなりません。となると、残された時間は多くない。Microsoftが9月に開催されるProfessional Developers Conferenceで何を出してくるのか、非常に楽しみです。
--ベンチャーキャピタルコミュニティは、大型のソフトウェアプロジェクトに今も関心を持っているのでしょうか。それとも、こうした分野に対する投資意欲は、ほぼ失われてしまったのでしょうか。
これまでと同じとはいえません。今でもセキュリティ分野への投資は行われていますし、ローエンドアプリケーションに投資が行われた例も複数知っています。Salesforce.comのビジネスは、単純な問題を解決するために1000万ドルのソリューションはいらないことを多くの人に証明しました。5年前と比べると、状況は一変しています。競争も激しくなりました。もはや、重要なのは製品だけではありません。大企業はますます巨大化し、研究開発予算もふくらんでいます。ここは、掛け値なしに厳しい市場なのです。
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