iPodからのシェア奪回を狙うMicrosoftが、市場で苦戦を強いられる一方で、同社の弁護士らは、デジタル音楽技術の特許取得を狙うApple Computerの試みを何とか遅らせた。
米特許庁の審査官は先月、iPodのユーザーインタフェースの一部について、Appleからの特許申請を却下する判断を下した。同審査官は、MicrosoftのJohn Plattという開発者が、同様の請求をAppleより5カ月早く申請していることを却下の理由として挙げた。
これに関し、Microsoftのある幹部は米国時間12日、同社にはいつでも技術をライセンスする用意があると述べた。
MicrosoftのDavid Kaefer(知的財産ライセンシング担当ディレクター)は、「われわれの方針は、他社がわれわれの革新的手法をライセンスして自社の製品に採用できるようにするというものだ。MicrosoftとAppleは、これまでにも特許の相互ライセンスを行ったことがあり、Appleとは素晴らしい協力関係にある」と声明のなかで述べている。
しかしKaeferは、AppleがiPodに関して1台単位でMicrosoftにライセンス料を支払うと推測するのは時期尚早かもしれない、とインタビューのなかで認めている。
今回の判断は、特許庁のなかでは「正式決定」と見なされるが、Appleには、Microsoftが申請した特許と重複しないよう特許の適用範囲を定義し直すチャンスがある。
また、AppleとMicrosoftが1997年に交わした合意が、この特許に何らかの形で影響するかどうかも明らかでない。このとき合意した5年の期間期間は過ぎているが、理論上は特許申請の主張を含めることも可能だ。
Kaeferはまた、両社とも同じ分野の技術を開発しており、特許庁の判断を回避する方法は分かっている、とも指摘した。
「両社の技術革新は、ある意味で同じ方向に進んでいる。少なくともわれわれの観点からは、どちらも同じに見える」(Kaefer)
Kaeferは、AppleとMicrosoftが包括的な相互ライセンス交渉を進めているかどうかについてはコメントできないとした。Microsoftは以前、このようなライセンス契約をIT関連のさまざまな大企業と結ぼうとしていると述べていた。
これに対し、Appleは「iPod関連の発明では多くの特許を取得しており、またほかにも多くの特許を申請中だ」とする声明を発表した。
「米国の特許申請プロセスは時間がかかる場合が多く、特許庁とのやりとりが多い。Appleはこの特許申請を継続するとともに、iPod関連の技術革新をカバーするほかの多くの特許申請も進めていく」(Apple)
Appleはさらに、「iPodのインタフェースは、担当者が言及するMicrosoftの特許が申請される前に発明され、公に公開されていた」と付け加えた。
これに対し、MicrosoftのKaeferは、たしかにAppleよりもMicrosoftのほうが先に特許申請を行ったが、最終的に問題になるのは、どちらの会社が先に当該特許のカバーする基本的なアイデアを考え出したかという点だと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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